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映画パンフレット感想#7 『ヴェルクマイスター・ハーモニー 4Kレストア版』

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感想

B5サイズでシンプルな装丁の、スタンダードで読みやすいパンフレット。パンフレットを購入する頻度が高い私にとっては、実はこれが一番ありがたかったりする。掲載記事も、映画の基本的な情報のほか、監督インタビュー、映画評論家の寄稿に加え、「ヴェルクマイスター」に関する解説まであり、コンパクトながら充実の内容となっている。

「ストーリー」ページでは、ページの下部にあらすじがオープニングからエンディングまで網羅されており、上部には場面写真が多数掲載されている。鑑賞後、振り返るのにとても役立った。何しろ映画本編には印象的な長回しが多数なので、状況説明の一文を読んだり、場面写真を一枚眺めたりするだけで、脳内に劇中の映像が一気になだれ込んでくる。

監督インタビューはテキスト量こそ多くなく、映画の解釈の答えとなるような直接的な言及もないが、監督の意図を示唆する内容としては十分過ぎるほど。混沌と秩序、自由と規律/規定のあわいで、自分なりに思考することを要請されている。そしてこの思考こそが楽しい。

観客それぞれが独自の解釈をできる開かれた映画だからこそ、抽象的な問いのようなものが頭に朧げに浮かぶと思う。それが消えてゆく前に答えを導き出すのに、十分役立つパンフレットになっている。印象的なヤーノシュの顔の正面アップや、特大のクジラの眼を、好きなだけ見られるというのもポイントが高い。

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