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映画パンフレット感想#8 『オタール・イオセリアーニ映画祭 〜ジョージア、そしてパリ〜』

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感想

※当記事を執筆している2024年3月4日現在、劇場上映はすでに終了している。現時点で再公開される予定もないが、せっかく70ページの大ボリュームを堪能したので記録として感想を残すことにする。

前掲の公式の紹介にあるとおり、とにかく大ボリューム。“特集上映のパンフレット”の域を超え、“オタール・イオセリアーニ全作品解説集”とも形容できる頼もしい内容となっている。なにせフィルモグラフィの全作品が網羅され、その全てに解説が付属。それどころか、長編作品には13作品すべてに、ライター・映画批評家・映画作家など豪華執筆陣による寄稿が添えてある。これだけの作品数にも関わらず、各作品を深掘りするテキストが全てに用意されているのは驚異的。てかこわい。

イオセリアーニ本人の言葉も膨大なテキスト量で掲載。フィルモグラフィ後期の作品に限るが、各作品の公開時に行われたインタビュー、イベント時のトークが収録されている。「作品の意味を言葉で語るのは好まない」というイオセリアーニのスタンスゆえ、直接的な説明は控えめであるが、読めば作品の根底にある精神性は十分に理解ができ、各作品の解像度もあがることだろう。そんなイオセリアーニであるが、『ここに幸あり』のインタビュー記事では十分詳しく説明してくれている気もする。

また、映画のパンフレットにしては珍しい記事として、イオセリアーニが映画作家を志す日本の学生に向けて映画づくりをレクチャーした際の採録がある。イオセリアーニ作品を観て憧れを抱いたり映画作家を志すようになった方には貴重な参考書的資料となりそうだ。

この映画祭で複数作品鑑賞した方ならばマストアイテムなのは間違いないこのパンフレット。価格は1,200円(税込)と単作パンフよりも高価だが、ボリュームを考えれば激安な価格設定。2024年1月31日にはイオセリアーニ全作品のソフトが発売されたようで(全世界で日本のみとのこと)、そちらをコンプした方にも是非おすすめしたい。

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