愛を教えてくれた人。

長く入院して、時間を持て余すと、昔の事をよく思い出す。そしてあの時の自分が如何に未熟だったかを思い知る。今もまだまだ未熟だけれど、あの頃の僕は恥ずかしくなる程に未熟だった。

妻とは全然喧嘩をしない。妻が僕よりも大人なのかも知れないけれど、それ以上に僕が妻に惚れていて、尊敬しているから、不満に思う事が殆ど発生しないと言うのが大きいと思う。

思えば、過去の恋愛での僕は相手への尊敬が全然足りなかったと思う。だから思い通りにならない事にイラつき、些細な事で口論になり、この人とは口論する事すら下らないと黙り込む。言ったところで伝わらないと、相手を一段下に見ていたのかも知れない。

めんどくさくなって「もう良いよ、別れよう」と言うのはいつも僕で、相手は「ごめんね、変わるから」と言っていたけれど、変わらなきゃいけなかったのは僕だったんだと、今になってやっと気が付いた。

たまに妻と口論になっても、妻は自分の非を素直に認めて、直ぐに謝罪する。そして繰り返さない。自分が正しいと思う時は、何がいけないかを僕が理解する迄、辛抱強く説明してくれる。

そう言う関係を恋人と構築出来なかった。

恋をした事は何度もあるけれど、愛を教えてくれた人は妻だけ。恋人の様に可愛く、友人として尊敬出来、時には母の様に僕を包み込んでくれ、逆に娘の様に僕を心から信頼して全力で甘えてくれる人。

妻と出会えなかったら、僕は自分の事しか愛せない、本当に残念な人間のままだったと思う。

恋をしている時間が短くても、愛があれば何度も同じ人と恋が出来る事を知った。

ふとした瞬間に、あぁ、妻は本当に美しい人だ。可愛い人だ。僕の大切な人だ。と、何度も何度も気付かせてくれる。

僕はまだまだ大人になりきれないけれど、妻がずっと側にいてくれたら、きっと今よりマシな大人になれる。妻の隣に相応しい男になりたいし、その為の努力を惜しみたくない。ずっと僕のLadyでいて欲しい。

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