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SPEEDMAN完成!

2011年からコツコツと作り続けてきたカバーホイール。その集大成ともいえる10周年記念の究極のカバーホイールSPEEDMANが、ついに完成した。実際には、昨年末には試作品がカタチになっていたが、その後、パーフェクトな精度を出したSPEEDMANを完成させたのが、今年4月。そしてそこから6000km程乗り込んで、精度に狂いがないことを確認して、そしてやっと完成宣言である。MCWのポリシーとして、「使い倒してナンボ」というのがある。完成したばかりのカバーはあくまで未完成であり、作り手の自分が自ら納得できるまで乗り込んで、その上で精度その他に問題がないことを確認しないことには、完成とはいえないのだ。

一方で、SPEEDMANの完成に伴い、大幅な値上げも発表した。これまでオーダーメイドのカバー製作費(塗装代別)でも、35000円(税別)だったのが、85000円(税別)に。よく原材料費の高騰に起因する値上げが様々な業界で行われているが、MCWの場合は、少し違う。MCWのカバーホイールの価格に占める原材料費の割合は、実は微々たるものだ。そのほとんどは、技術料だ。
SPEEDMANの開発に取り組んだ頃から、お客さんに自信をもってお渡しできる精度が、どんどん厳しくなっていた。お客さんはおそらく気づかないかもしれないちょっとした歪みが許せなくなったのだ。結果として、どこがダメなのか自分でもなかなか判別できない微妙な不合格品が、工房に山のように積み上げられることになる。直近にオーダーいただいたカバーなどは、左右あわせて20枚近くの不合格品を出して、やっと合格品を作ることができた。さらにこの貴重な合格品を、塗装業者さんにお渡しして、SPEEDMAN化してもらう。ちなみに、塗装業者さんもまだまだ試行錯誤しながら塗ってくださっているので、万が一うまくSPEEDMAN化できなければ、再度私がベースカバーの製作をしなければならなくなる。そう、ひと昔前のカバーホイールと違い、気が遠くなるような手間と時間がかかるようになったのだ。結果、もしカバーホイール屋として生計を立てていくなら…と試算したのが、先の値上げ価格なのだ。

一方で、リーズナブルな価格で提供できるカバーとホイールのセット販売も始めた。こちらは、ホイール価格+カバー製作費(塗装込み)70000円(税抜)となる。以前のフルオーダーメイドカバーでも、塗装代を合わせると50000円以上かかっていたので、値上げ後のお問合せの多くが、こちらのセット販売になっている。ただ、完成品としての販売となるので、色やデザインのオーダーはできないので注意が必要だ。

下のカバーホイールは、韋駄天PRリアホイールとそれにあわせて製作したSPEEDMANのセット販売品。価格は90000円(税抜)となります。タイヤ・チューブ(DURO Stinger)もサービスさせていただきます。

SPEEDMANセット販売品 価格99000円(税込)

10数年続けてきたMCWの仕事だが、皮肉にも技術が向上するほどに、利益を出しづらくなっている。ただ、これがものづくりの本来の姿なのかな、と僕は考えている。大切なのは、ここからどう方向転換をするか?一つ言えることは、せっかく具現化できたSPEEDMANなのだから、一人でも多くの人々にその魅力を伝えたいし、伝えないと本当のゴールにはたどり着けないと思う。進む速度はどんどん遅くなっているけれど、確実に最高のゴールにたどり着けるように頑張っていくので、MCWのこれからに是非関心を持っていただければ幸いです。


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