素人と読む旧約聖書②禁断ノ実をたべるということ
素人と読む旧約聖書シリーズは、筆者が、作家であり絵画など美術作品に詳しい中野京子大先生の本を読んで、歴史や美術に関心を持ち、その中でも特に興味を抱いた「聖書」の分野を、皆さんにも理解してほしいという思いから始まりました。ちなみに、筆者は万物において素人なので、どうか温かい目で記事をご覧願います。
参考にさせていただいた中野先生の著作はこちらになります。是非、購入をいただけたら私も嬉しいです。
Amazonリンク:中野京子と読み解く 名画の謎 旧約・新約聖書篇
著:中野京子・文藝春秋社
1.創造
前回のおさらいである。ちなみに、素人と読む旧約聖書①もプロフィールから見れるので是非。旧約聖書の始まりである『創世記』第1章では、神がアダムを造り、エデンの園に置いた。そこへ、獣や家畜・鳥などを連れ込んだ。アダムが寂しそうに感じたから、アダムを眠らせて、彼のあばら骨からイヴを生み出した。
また、神はエデンの園に、あらゆる果樹を置き、食べてよいと言った。しかし、食べてはいけない実が存在した。それが「生命の木と善悪を知る木」の実だ。神はアダムに対し、それを食べてはいけないと注意を促した。
2.禁断の実
しばらくたち、夫婦となったアダムとイヴは、神から祝福を受けた。しかし、あの実が気になる。食べてはいけないと言われたら気になるのだ。きっとそうなのだ。
ある時、ヘビがイヴに対し「なあ禁断の実(善悪を知る木の実)は食べても死なへんし、むしろ善悪が分かるようになって神のようになれるねんて」と関西弁風の誘いをしたのだろう。あろうことかイヴは納得し、アダムにもその実を分け与えてしまう。この瞬間に、アダムとイヴは不老不死を失い、知恵を得ることにより、自身が裸であることを恥じるようになり葉っぱで大事な部分を隠すようになった。
こうして、人類は神に背くという最初の大罪を犯した。キリスト教では、これを「原罪」と呼び、アダムの子孫たる人間が生まれながらにして罪を負った存在であると考えている。こりゃ大変だ。
3.追放
神は、神だから全てを知っている。それが、神たる所以なのだ。
2人の行動を知っている神は、天使に命じ、2人をエデンの園から追い出したのであった。追放の際に、ヘビには対し足の存在をなくし(だからヘビは足ないよね)、イヴには出産の際の痛みを与え、アダムには「働かないと生きていけるほどの食料も得られないほどに地が廃れる」を与えた。一体なんだそれは???
さて、絵画において2人が追い出されるシーンは、すごく敗北的なシーンとして描かれる。ジョン・ミルトンの『失楽園』を見ておいてほしい。2人がめちゃくちゃ指図されているし、天使もめっちゃ冷徹な態度だ。大罪を犯したから致し方ないのか。ちなみに、『失楽園』は、遊戯王に出てくるカードの名前と同じだ。そちらも確認してみてほしい。(特に意味はない。)
4.評価
その後、神はエデンの園には、人間が二度と戻って来れないようにした(天使とかにガチガチ守らせた)。
こうして、人間は知識を得た代わりに不老不死を失ったのだ。あの時、アダムとイヴが実を食べなければ、現在アンチエイジングなんて言葉は存在しないであろう。2人は大きな罪を犯した大戦犯なのだ。
ん??本当か??
知識のない不老不死と、知識のある限りある命どっちが良かったのか??イヴの行動をどう評価するかは、知識を持つ人間だからできることなのだ。
今回で、旧約聖書の『創世記』第1~3章が終わった。次回はアダムとイヴの子供の物語。お楽しみに。
5.悪魔の実
実を食べることによって、何かを得て何かを失うという構造。悪魔の実じゃんかこれと。
ワンピースの主人公のルフィは、「ゴムゴムの実」という悪魔の実を食べることによって、身体がゴムのように伸び縮みをする能力を得る。その代償に、実の効果により泳ぐことができなくなる。
果たして、ルフィはゴムゴムの実を食べるべきであったのか。これは、有識者に託しておこう。
p.s.何がともあれ、食べるなとか見るなとか聞くなとか言われると、やりたくなってしまうのは、人間の嵯峨なのだ。
2024年10月29日更新
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