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【猫まど日誌】#4 棚主は利益は求めるべきなのか

シェア型書店は徐々に認知されるようになり、全国的な広がりを見せているが、その実態を知る手段は多くない。
個人が出店していること。本好きの趣味として行っている人が多いこと。
主にこの2点から、利益を度外視して独自運営をしている為、ノウハウや実情を形として残す人が、そもそも少ないことに起因していると思われる。

近頃はスモールビジネスとして注目され、シェア型書店の運営方法やノウハウのセミナーが開催されることもあるが、まだ一般的ではないだろう。

実際ほんまるの棚主になろうと決めたはいいが、わからないことだらけであった。色々調べてはみたものの、店舗によって運営も異なるし、棚主目線の情報はあまり出てこない。
ただ唯一わかったことは、シェア型書店で利益は臨めない。

まぁ、そうだろうな。
その事実は肌感としてもあったし、本の利益率を考えると、とても月額費用をペイできるとは思えなかった。そもそも自分の棚で本が売れることすら、当初の自分には想像が出来なかった。
それでも、儲けることを目的に棚主になるわけではないので、何の問題も感じなかった。なんなら月額費用は推しへの課金だと思っている。喜んで貢ぐことが出来る事に感謝したいぐらいだ。(←個人的見解です)


だがその一方で、今村先生の言葉がずっと心に残っていた。

「ここで黒字になる棚もたくさん出てきてほしい」

日経ビジネス2024.4.24「書店の店主になりたい!」人を支援するシェア型書店「ほんまる」」

先生は厳しい書店状況を打開して、きちんと儲かる仕組みを作っていきたい。出版業界が復活する為には、業種として成り立つような仕組みを再構築することが大切だと述べている。
個人の棚主に向けても、黒字にするのは難しいという事実を把握したうえで、満足感を高めたり、お金が回るようなアイディアを取り入れたりと積極的に動いている。
また個人で書店を開きたい人に向けて、セミナーを開催したり、支援する仕組みを構築したりと、書店を増やしていく為の下地も作ろうとしている。
つまり、趣味として棚主を楽しんでもらう一方で、書店経営の登竜門的存在として、棚主を経験してもらうことにも大きな重きを置いているのだ。

書店の活性化、出版業界の復興は、先生が人生を掛けて成し遂げたいことの一つ。先生ならば、出版業界の歴史に今村翔吾あり、と必ずや後世にまで伝えられるものを残されると信じている。


推しの夢は、自分の夢だ。(←突然どうした)


ならば殿の足軽として、利益は求めていないと言っておきながら、「圧倒的な赤字だよ!てへっ」なんて暢気にしてていいのだろうか。
武功をあげない足軽なんて、信長ならば斬って捨てていい存在と同義だ。(少なくとも「おまえもっとできるよな?」的なパワハラまがいの書簡が大量に届くだろう)
ましてや、今村翔吾激推し担と名乗っている自分。
今村党の一人として、ここは武功をあげて出世するのが武士の道というものではないか!?(←いつ武士になった)

思えば、憧れて夢見るは推しの書店員さん。
彼ら彼女らのように、好きな本を推しまくって、誰かの手に届けることが、そもそも自分がしたかったことじゃないか…!!


ならばここで功を成さずしてなんとする!!!


…と、まぁそういうわけで。
うきうき棚主ライフを満喫しながらも、黒字棚を目指す為の動きもしていこうと決意したのでございます。

ただ…利益は求めない、って想いは変わらない拗らせな自分。
殿の本を敢えて置きたくないのも、それで自分が利益を得ることに抵抗があるからも一因としてある。(SNSで「アソシエイトやってます」て文言やリンクがあると、ちょっと距離置いたりしちゃう)
趣味として大好きなもので、お金を得る行為に罪悪感を感じるのだ。
だからなんというか…売る事を目的として行動したくない。
あくまで、”好きを届ける”事を目的に行動したい。
そして推しへの情熱で好きが届いたかどうかは、数値へと変換されるはず。
その線引きと認識を、自分の中ではしっかり持っておきたい。
周りからみたらどちらも変わりないかもしれないし、結局はエゴかもしれないけれど、本質が何かを忘れたくはない。

とはいえ、ベテラン書店員さんのように目利きが出来るわけではない。
もし出来たとしても、売れる本だけを置く棚にはしたくないし、あくまで自分が推したい大好きな本を並べることには変わりない。
ただ信条はブレないままで、どうしたら届けることが出来るのか。
それを追求していくしかないのだ。


好きこそものの上手なれ。

本気で好きを突き詰めていこうぞ…!!!


僭越ながら、推しへの愛は誰にも負けない自負があるように、自分が”好き”な事には力を注ぐことが出来るタイプである。(つまりオタク)
どうすれば大好きな本を届けられるのか。
選書、陳列、POP、SNSの活用…。
元々やりたかったアイディアを少しずつ取り入れながら、試行錯誤を重ねていくのだが、それはまた別のお話。
ここではまず、客観的な目線から自分の棚をみていきたい。

客観的で一番シンプルで明確な判断基準といえば、黒字か赤字か。
結局金かい!って声が聞こえてきそうだが、そうなのである。
だってビジネスだもの。
まずはここをきちんと把握する必要がある。
黒字か赤字かを知る為に一番簡単なのは、会計帳簿を作ること。
スモール・オブ・スモールであるが、シェア型書店の棚を一つの会社とみなせば作るのは難しくない。

これでも仕事上必要に迫られ、簿記2級を取得している。
忘れもしない…受験当日は二人目の妊娠10カ月目。臨月だった。
雪が降り積もる中電車に乗り、張り裂けんばかりのお腹を抱えて椅子に座り、必死に電卓を叩いていた形相はいかなるものや…。
貴重な産休という休みを試験勉強に費やしたのだから、絶対受かったるという闘志は鬼気迫るものであっただろう。

その赤子はいまや、元気いっぱいの年長さん。
そう…。それは約5年半前もの出来事。
思い出は忘れなくても、覚えた仕訳はほとんど忘れてしまった。←ヲイ


…さて。
やはり復習から始める必要がある。←資格の意味とは
本が好きで棚主を始めて、何故簿記の勉強を始めているのか、自分でもよくわからなくなってきたのだが。笑
全ては推しに繋がっている。
勉強する機会を頂けたことに感謝!!!
そう思える自分が好きだ。

そうして簿記のお勉強をしながら、実際にほんまるで動いた数値をもとに会計処理を行った。
仕訳帳を起こし、総勘定元帳に転記し、合計残高試算表にまとめる。
そして決算書として、損益計算書と貸借対照表を作る。
なんなら棚卸の為に、在庫管理表まで作った。
さすがにシステムは導入できないから、全てExcel管理。
「私もニュータイプのはずだっ!」
なんてボヤキながらも、所詮はExcel大好きなオールドタイプなのさ。

前置きが長くなったが、以上の経緯で決算書を作るに至った。
次回は実際の帳簿を掲載しながら、どのような科目を使ったか、どんな仕訳にしたのかも備忘までに記していく。
そして最終的な月次決算として、数値はどうだったのか、財務会計の目線で分析していきたい。


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