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検索時のLimits and Restrictionsの報告:PRISMA-S

SR実施後,論文化して報告する際の報告のガイドラインとしてPRISMA2020(2020にアップデートされました)があり,その中でも検索の部分の報告ガイドラインとしてPRISMA-Sが策定されました。

Rethlefsen ML, Kirtley S, Waffenschmidt S, Ayala AP, Moher D, Page MJ, Koffel JB; PRISMA-S Group. PRISMA-S: an extension to the PRISMA Statement for Reporting Literature Searches in Systematic Reviews. Syst Rev. 2021 Jan 26;10(1):39. doi: 10.1186/s13643-020-01542-z. PMID: 33499930; PMCID: PMC7839230.

SRの報告でよく見かける勘違いパターンとして,以下のような記載です。

"conduct PRISMA"

“This scoping review will be conducted according to the Preferred Reporting Items for Systematic reviews and Meta-Analyses extension for Scoping Reviews (PRISMA-ScR) Statement.”

“This protocol was designed based on the Preferred Reporting Items for Systematic Review and Meta-Analysis Protocols (PRISMA-P) Statement.”

“The methodological quality of the included systematic reviews will be assessed with the Preferred Reporting Items for Systematic reviews and Meta-Analyses (PRISMA) Statement.”

Sarkis-Onofre, R., Catalá-López, F., Aromataris, E. et al. How to properly use the PRISMA Statement. Syst Rev 10, 117 (2021). https://doi.org/10.1186/s13643-021-01671-z, の不適切な使用例として例示

PRISMA(family)やPRISMA-Sは報告のガイドラインであり,方法論(実施)のガイドラインではないので,言及するのであれば下記のように記載するのが適切です。

"according to PRISMA."

また,先日以下のようなQA形式での解説ツイートもありましたので,メモしておきます。

PRISMA-Sのツイート画面(2022年10月4日のツイート)

質問:PRISMA-Sの項目9(制限と絞り込みの報告)と的確基準の違いは何ですか?私は的確基準の箇所で英語(文献)だけにした。と言ってるから十分ですよね?

上記質問への回答画面(2022年10月4日)

答え: 報告してください。 項目9は文献検索時データベース側に適用した制限や絞り込みを意図しています。(例、言語をEnglishのみに絞った、Google検索結果のうち最初の100件を拾ったなど) 的確基準と同じではありません。

appendixで報告する際この部分↓をコピペして報告し,他の人も同じ条件で再現できるようにように記載しないと検索を再現できません。

英語で絞り込みを行った際の検索式例
検索式の報告例


著者らは2021年にRethlefsenらの許可をもらい日本語に翻訳させていただきました。上岡洋晴ほか. 「PRISMA-S: システマティック・レビューにおける文献検索報告のためのPRISMA声明拡張」の解説と日本語訳. 薬理と治療 49(7): 1057-1079, 2021. 検索についての報告の際にはご参照いただけましたら幸いです。


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