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残存者利益を得ながらも、次への備えを忘れない

随分とこんがり焼き上がった色味を
しているこちらの商品は、知る人ぞ
知る不二家「ペコちゃん焼」である。

不二家は全国に店舗を持っているが、
現在このペコちゃん焼を販売している
のは、飯田橋神楽坂店のみ。

こちらのページにある通り、
かつては全国で販売されていた
ようだが、今でも残っているのは
この店舗のみとのこと。

「ここでしか食べられない!」
という希少性が、人の心をそそる
ところ大なのであろう。
噂が噂を呼び、土日は絶えず行列
していることが多いと聞く。

なぜここだけ残したのか、
詳しい理由までは分からない。
恐らくは、大判焼やたい焼きの
ような昔ながらの和スイーツの
需要が年々減少傾向
にあることと、
コンビニなどのスイーツに取って
代わられた
ことが主な要因だろう。

原因は何であれ、需要が減少し続ければ、
供給する側に淘汰が起こる。
利益が出なくなった企業や店舗から
徐々に撤退が始まり、市場そのものが
縮小してしまう。

それでも、希少性をウリにして何とか
ビジネスを続けることは、余程のことが
ない限りは可能である。
市場が消滅してしまうというところまで
行くことは少ない。

良い例が、レコードの針である。
かつて、音楽を聴くと言えば、
LP盤やEP盤を回したもの。
しかし、CDの爆発的な普及によって、
あれよあれよとレコードは廃れて
いった。

かといって、市場は消滅せず、
コアなファンが熱心に聴き続けた
お陰で、レコード針の需要も少ない
ながら一定の量を保ち続けた

最後の最後まで残ったメーカーが、
その残りの需要を総取りして、
極めて良好な業績を残していると
いうような話を聞いたことがある。

ちょっと調べてみると、
下記の記事にあるナガオカこそが
その生き残りメーカーだと判明。

世界のレコード針のうち、生産量の
9割がナガオカ製
だというから、
ほぼ独占企業である。

レコード針の場合は、市場が落ち切った
ところで「アナログブーム」が来た
ことが追い風になった様子。
なんと2009年から2018年にかけての
10年間で、レコードの販売枚数が
10倍に急拡大
したのである。

そこで見事に需要拡大に応えられた
ことで、業績は大躍進。
斜陽の市場で着実に利益を稼ぎつつ、
商品開発などで手を抜かずに技術力を
高め、「雌伏」していたのだろう。

コツコツ続けていけば、残存者利益
得られるかもしれない。
ただ、コツコツやるだけではなく、
突如として市場の急激な変化が訪れた
としても、対応できるだけの準備を
常に怠らないようにする必要
がある。

ペコちゃん焼にせよ、ナガオカにせよ、
最後に残った「希少性」のみに甘んじて
いたら、今はもうその存在がなかった
可能性が高い。

残存者利益を得つつ、
お客様を喜ばせる次の備えを
怠らないことが大切なのだ。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。