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「チャンスの女神」に感じる違和感

「チャンスの女神には、前髪しかない」

多くの人が、この話を聞いたことが
あるのではなかろうか。

チャンスというのは、いつやって来る
か分からない。

だから、いざチャンスがやって来たら、
それを逃してはならない。
つかまえる準備が出来ていないと、
あっという間に通り過ぎてしまう。
そして、通り過ぎた後からつかもうと
しても、後ろ髪がないからチャンスを
引き戻すことはできない。


教訓としては、至極納得のいく話で
ある。
確かに、チャンスはいつやって来るか
予測不能である。
そして、「いつでも来い!」とばかり
に準備ができていないと、チャンスを
つかまえることはまず無理だろう。

しかし、この話を聞いて、どうしても
気になってしまうことがある。
それは、この話が「女神」を愚弄して
いるのではないかということだ。

女性にとって、髪の毛は非常に大事
体の一部であり、アイデンティティに
大きな影響を与えると言える。
髪型ひとつで、見た目の印象が変わるし、
自分の気持ちも上がったり下がったり
する。

常識的に考える限り、後ろ髪のない
髪型というのは、決して多くの人には
好まれることがない。
自ら進んでそういう髪型にしようと
おもう女性は、パンクロッカーとか、
尼僧とか、ごく限られた一部の方のみ
だろう。
「チャンスの女神」には、その後ろ髪が
ないというのだから、なんだか哀れでは
ないか。

神様だから、たとえ後ろ髪がなかろうと、
神々しさ、美しさがなくなることはない
のかもしれない。
しかし、「女神」と聞いて美しい女性の
姿をつい想像する身としては、後ろ髪を
スッキリ剃りあげた女性をイメージする
のが非常に難しい
のである。

この表現が、そもそもどこに起源を持つ
のか、Google先生に訊いてみると、
コトバンクのサイトがヒットした。

以下に引用する。

[由来] 「ギリシア詞華集」に収められた、紀元前四~三世紀のギリシャの詩人、ポセイディッポスの詩の一節から。時の神カイロスについて、出会った人がつかまえやすいように髪を顔の前に垂らしてあるが、追いかけてつかむことはできないよう、後頭部には髪がない、と書かれています。カイロスは男性神ですが、のちに、幸運の女神についての話に変化して広まっていきました。

なんと、そんな昔から伝えられてきた
言葉だったとは!
そして、実は元々は男性神の話だったのが、
後に変化して女神の話になったとは!

この言葉を思い出すたびに、後ろ髪を
剃りあげたファンキーな女神を思い出す
よりも、男性神であるカイロスを
思い出した方がしっくり来る気がする。

なので、最初に紹介した言葉は、

「チャンスの神様には、前髪しかない」

つまり、今後は「女神」を「神様」に
置き換えて使おうと思う。

それにしても、チャンスは「時の神」と
いう点に、本質を感じる。
時間を味方につけることで、人生は
拓かれる。
より多くの「前髪」をつかみ、
人生を全うしたいものである。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。