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万能薬などないし、即効薬は副作用がつきもの、目的を見失わずにコツコツやるのが大事

こちらで2度ほど、今話題の書である
『売上の地図』を取り上げてきた。

著者である、トライバルメディアハウスの
池田紀行社長が、noteのプロデューサー
である徳力基彦さんのモデレートで、
「noteやTwitterを、どう売上に貢献させるべきか」
をテーマにイベントで語るとのことで、
参加することに。

タイトルにある「noteとTwitter」の
活用法というより、『売上の地図』の
背景、あるいはエッセンスをギュッと
まとめてくれた
ような感じ。

お時間ある方は、いや、ないという方も、
是非とも時間をひねり出して視聴すべき、
示唆に富んだ内容だった。
(上記リンク先にアーカイブあり。)

『売上の地図』を読んでいなくとも、
きちんと内容を理解できる構成。
ほぼ読み終わりつつある私にとっても、
内容をより立体的に、手触り感を持って
理解する上で、とても有益だったと
感じている。

これまでに、様々なマーケティング上の
キーワードが、
「次はこれが来る!」
「今こそこれが大切!」
といった感じで世の中に出て来て、
定着するものもあれば、
消えるものもあった。

・SEO、SEM
・メルマガ、ブログ
・ブランドコミュニティ
・体験(エクスペリエンス)
・AIDMAからAISASへ
・クチコミ(WOM)
・CRM(顧客関係性マネジメント)
・戦略PR
・バズ
・エンゲージメント
・UGC活用
・カスタマージャーニー
・デザイン思考
・インフルエンサーマーケティング
・コンテンツマーケティング
・Web3
・「推し」エコノミー
などなど。

どれもこれも重要なキーワードだし、
「現役選手」が多いが、一時的に
ブームが来て盛り上がり、猫も杓子も
踊らされたことのあるバズワードでも
あったと言えそうだ。

全て網羅してはいないが、
池田さんがこれらのワードを次々と
テンポよく紹介した上で、

これらは全て「おくすり」なんです。

とおっしゃったことに、
激しく共感している。

売上や利益が上がらない、
お客様が増えない、などといった
諸々の経営課題を解決するのに、
何か手っ取り早いソリューションが
欲しい人たちが、こういう手段を
「万能薬」「即効薬」と勘違いして
すがろうとする
のだ。

言い換えると、「手段の目的化」
起こっているということ。
あくまでもこれらは「How」であり、
手段なのにもかかわらず、
流行っていると誰も彼もがこの手段を
採用すること自体を目的化してしまう
のである。

ほとんどの組織は、何らかのパーパスなり
ミッションなりといった「目的」を
持っているはずで、その「目的」を
実現するために「戦略」「How」を
検討する。

しかし、巷で「今の時代はCRMらしい」
などと聞くと、「うちもCRMをやるべき」
のような議論が巻き起こったり、
挙句の果てに社長が一言そう言おうものなら
「鶴の一声」状態でCRMを導入することを
目的化してしまいかねない。
正に「組織あるある」「会社あるある」の
典型と言えそうな話である。

これらの「How」が、どんな組織にも、
どんな課題にも効果の出る「万能薬」
であることはまずない。

必ず、その組織の置かれた状況や、
目指しているところ、そしてそれらの
組み合わせいかんで、薬の飲み方、
つまりその量や、服用回数、タイミング
などが変わってくるはずである。

また、それらの「How」が、適用すれば
即座に問題を解決してくれる魔法の杖、
「即効薬」であることもまた、なかなか
ない
だろう。
そんなにすぐに効くとしたら、
逆に副作用が心配になって来る。

全ての施策がシュートとは限らない。

池田さんのこの言葉も、非常に含蓄がある。
ゴールにボールを入れれば得点が入るので、
いかにシュートを多く打つか、
シュートの確率を上げるか、
そこにばかり目が行きがち
だ。

しかし、先に挙げた多くの「How」は、
シュートばかりではなく、パスだったり
ドリブルだったりする。
シュートに効く薬だと思って飲んだものが
もしパスにしか効かない薬だったら、
一向に成果が出ないのが当然どころか、
本来は良いシュートを打てたはずなのに
ミスへと誘発されるかもしれない。

「目的」が何か、その基本に戻る。
「目的」達成のために、どの「How」を
選ぶのが最善か、自分たちの頭で考え、
実際に試し、そのPDCAサイクルを
グルグル、コツコツと回す。

そこを押さえずして、流行りのワードを
追いかけ続けるような、浮付いた経営は
厳に戒めるべきなのだ。

著書と講演を通じて実に多くの示唆を
いただき、感謝に堪えない。


己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。