タムパを考える
今年50歳を迎える私は、いわゆる
「団塊Jr.世代」ど真ん中。
その後に続くのは「ミレニアル世代」、
そしてGen. Z「Z世代」が続く。
団塊Jr.も、ミレニアルも、かけるお金に
対してどれだけ高い満足度を得られるか、
即ち「コスパ」(コストパフォーマンス)
重視である。
「こんなに美味しいのにこんなに安い!」
「高いだけあってさすがのクオリティ!」
という製品・サービスに価値を認める。
この「コスパ」という言葉の対概念で、
「タムパ」なる言葉が最近使われる
ようになってきた。
「タイパ」と呼ぶ場合もある。
何の略だか分かるだろうか?
そう、「タイムパフォーマンス」の
略語である。
「コスパ」が、かけたお金に対する
パフォーマンスを求めるのに対し、
「タムパ」は、かけた時間に対する
パフォーマンスを求めるということ。
じっくり、たっぷり時間をかけたなら、
かけただけのパフォーマンスが欲しい。
あるいは、僅かな時間しかかけていない
のに高い満足度が得られれば、高い
「タムパ」ゆえにリピートしたくなる。
それだけ、「タイム=時間」という資源の
希少さ、重要性が、若い世代に高く評価
されているということだ。
逆に言うと、ミレニアルや団塊Jr.以上の
世代は、時間の大切さ、その希少価値に
疎いきらいがある。
以前から、チラシを見比べ、特売品を
求めてスーパーを買い回る主婦(夫)の
存在を、何て勿体ない時間の使い方を
するのだろう!と残念に思っていた。
これからは、「タムパ」が悪い!
この一言でバッサリ斬れそうだ。
たとえ時間の希少価値を理解していた
としても、自分の貴重な時間を奪いに
来るものは数多いる。
無防備でいると、あっという間に一日を
無為に過ごすこととなりかねない。
生まれたときから携帯電話やスマホが
当たり前のように存在している世代に
とって、勿論「お金」も重要ではあるが、
「時間」の重要性が相対的に増している
ということなのだろう。
もともと「コストパフォーマンス」と
いう言葉の「コスト」には、「お金」
だけでなく「時間」も含まれている
はず、そんなことを思う。
そこで辞書を引いてみると、
コスト(cost)
費用。特に、商品の生産に必要な費用。生産費。原価。
[補説]金銭以外に、時間や労力などを含めていうこともある。
(デジタル大辞泉より引用)
個人的な当ては外れ、時間や労力は
あくまで「補説」で扱われており、
やはり金銭的な費用という意味合いが
強いようだ。
そうなると、やはり「タムパ」という
言葉は、「コスパ」と並行して使われて
然るべきということになる。
私がこの「タムパ」という言葉に出会った
のは、こちらの本がきっかけ。
ブシロードで経営に携わり、今は独立された
「エンタメ社会学者」中山さんの著書。
『オタク経済圏創世記』で一躍有名になった
気鋭の学者であり、ビジネスパーソンだ。
正直なところ、2次元とか2.5次元という
のは強くない。
マーケティングを生業にしている以上、
ある程度は理解しておかないとまずい、
そんな動機で読み始めたのだが、
彼ら若い世代を中心にも盛り上がる
エンタメ経済圏を解像度高く理解する
ことができる。
興味深いキーワードが、「タムパ」以外
にも多数出て来るので、また日を改めて
取り上げてみたい。
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。