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どうやってDMを開封してもらうか

ダイレクトメール(Direct Mail)、
通称DM。

宛名の人に「直接」届くメールという
意味である。

最近は何でもデジタル化が進んでいる
ために、紙のDMは大分減った。
その代わりに、いわゆるE-DM、電子
メールで送られてくるDMは多い。
迷惑メールに振り分けられるものも
多いが、フィルタをすり抜けて受信箱に
届くE-DMもしっかり存在する。

昨日私宛に届いたDMは、AMEXからの
プラチナカードへのお誘いDM。

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AMEXは、この手のDMは得意中の得意。
まだ若かりし頃の上司が、元AMEXで
DMを担当してたとのことで、色々と
面白い話を聞いたことを思い出す。

DMの開封率というのは、極めて低い。
基本的に売り込みであるため、
もらった側の都合をあまり考えては
いない。
それゆえ、何かしらギミック(仕掛け)を
施しておかない限り、ほとんどの場合に
開封することもなく捨てられてしまう。


AMEXが、開封率を大幅に上げることに
成功した単純な手法、何だかお分かりに
なるだろうか?
それは、DMの封書の中に、チープな
ボールペンを入れる
こと。
これにより、開封率が飛躍的に跳ね
上がったとのことである。

ボールペンが封書に入れば、当然ながら
封筒がふくらむ。
振ればガサガサと動く。
一体何が入っているのか?!という具合に
気になること間違いなし。

ボールペンの一本位、大した金額では
ない。
それを同封することで、開封率を恐らく
10倍、20倍のレベルに引き上げたはず

である。

AMEXがDMを出す理由は、当然ながら
カード会員の獲得だ。
それを実現するためには、
まず封書を開く
→ 書かれている内容を読む
→ 興味を持つ
→ 持つべきか色々皮算用してみる
→ 会員になった方が良いと判断する
というような順番を経て、意思決定を
していると思われる。

順調に下へ下へと進んでくれる人ばかり
なら良いが、なかなかそうは問屋が
卸さない。
結局は確率論である。
確率論であるがゆえに、最初の
「封書を開く」というアクションを
取ってくれる人が多ければ多いほど、
下の方に進む人の数も多くなるという
のが道理。

それゆえ、AMEXはいかにこの
「封書を開ける」
というアクションを実行してもらえるかに
血道を上げるのである。

今回私が受け取ったものは、
残念ながらペンは入っていなかった。
代わりにどんなギミックが採用されて
いたかと言えば、「チェックリスト」
である。

目の前にマイクを差し出されたら、
何かしゃべらなきゃ、という気に
なるだろう。

目の前に大きなボタンが差し出されたら、
ついそれを押したくなる衝動にかられる
だろう。

同様に、目の前にチェックリストを差し
出されたら、つい中身を読んで、自分に
当てはまっているかをチェックしたく
なるだろう。

そして、ついその罠にはまってチェック
してしまったら、最初にある一文
「1つでもあてはまる項目がある方への
 特別のご案内です。」

という誘いに乗って、一応見るだけ見て
みるか、という具合に腰を上げるので
ある。

DMというのは、出し手と受け手との
巧妙な心理戦が繰り広げられる、
なかなかに奥深い世界
なのである。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。