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土地の名前に興味を持ってみる

東急東横線の武蔵小杉駅、または新丸子駅
から徒歩で15分程度のところに、西明寺
いう名前のお寺がある。

そのお寺のそばを、中原街道が通っている
のだが、なぜか街道そのものが直角に折れ
曲がっている。

いわゆる「クランク」あるいは「カギ」状
と言われる形状なのだ。

この辺りは、「小杉御殿町」と呼ばれ、
実は江戸時代に「御殿」、すなわち偉い
武士のお屋敷が建っていたのである。
その武士とは、何を隠そう、徳川家康と
家忠の親子

中原街道を使って江戸からそれほど遠く
ない距離の小杉は、京都上洛や駿府への
帰還の際に一休み、ないし一泊する拠点

として、とても便利だったようだ。
よく鷹狩りの陣屋に使ったという話も
聞いた記憶がある。

西明寺の境内と隣り合わせの土地に、
家忠の命で1608年に御殿を造営したと
いう記録が残っている。
もちろん、まだ家康も存命で、二人とも
割と頻繁に来ていたようだ。

その際に、中原街道はカギ状に折れ曲がる
運命をたどったということだ。
これは、一本道で見通しの良い状況を
あえて大胆に折れ曲がったものとする
ことで、誰かが万一攻めてきたときに、
防衛をしやすくするため
らしい。

「小杉御殿町」という名前からして、
「御殿」があったことはすぐに分かる
わけだが、なぜ道路が「カギ」状になって
いるかなどは、記憶や記録で伝承されて
いくことで、後世の人間もその意味を
知ることができる。

この辺の話を、以前「ブラタモリ」
放映したことがあるので、ご存知の方も
多いかもしれない。

こういった、昔からの記憶、記録の伝承は、
印刷技術の登場によって革命的な変化
もたらされたと言える。
貴重な紙や墨を用いて、かつ膨大な人的
資源を投下しないと記録などできなかった
ところ、印刷技術がその「複製」にかかる
労力を圧倒的に押し下げた
のだ。

更に、インターネットが登場することで、
新たな革命的変化
が起こったと言える。
「複製」が更に容易になったことに加え、
「保存」性が圧倒的に高まったのだ。
紙などで保存している限り、焼失リスクや
盗難リスクなどが付きまとうのに対し、
今や何でもクラウドで保存できてしまう
便利な時代
である。

そんな時代であればこそ、自分自身が
興味、関心を持って世の中を見渡せば、
そこは様々な学びの宝庫

手始めに、自分の住む町の名前に興味を
持ってみる
のはどうだろうか?
調べてみると、結構面白いことや意外な
事実を発見できるかもしれない。

私が家を選ぶ際に、条件面でかなり気にして
いたのが、海抜がそれなりに高いことと、
水(海、湖、池、川、用水路など)に関する
名前が出てこない
こと。

ダイレクトに「池」「川」などの言葉を
使っていなかったとしても、さんずいが
含まれる漢字を使っている地名は要注意。

というのも、水に関連する災害が過去に
起こった、あるいは起こりやすかったと
いう事実を、土地の名前に託して伝えて
いる場合が少なくないから
である。

さんずいは一例だが、人の名前が由来に
なっている地名とか、古い風習と深い
つながりのある地名など、色々と興味
深い地名はあるもの。

ごく身近なところから始められる
小さな冒険を楽しんでみるのも
悪くないだろう。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。