情報のプルウィップ効果

プルウィップ効果は元々はサプライチェーンで発生する現象をさしていますが、社内における伝言ゲームもこれに似た印象を受けました。

社長、ないしは、上級役員が部門に対して雷を落とそうとすると、その威力は本人の意図以上に強く部門に落ちるケースが見受けられます。部門側が社長や役員を恐れている、というのもあるのですが、いわゆる伝言ゲームで内容が誇張されたり、しまいには異なって伝わることも多々あります。昨日の伝言ゲームは以下の経路でした。

①社長と上級役員が直接会話→②上級役員が担当役員へ怒りのメール→③担当役員から事業部長へ確認のメールか電話→④事業部長からコーポレート部門への問合せ電話(クレーム)→⑤コーポレート部門から社長秘書(私)への事実確認電話

私に来た問合せ(⑤)は、①の際に「社長が激怒」していたようだ。その理由は、とある情報を事業部門が説明するより前に入手してしまったからだが、どこからその情報を入手したのか知っているか?という内容でした。複雑なので詳細は割愛しますが、事実確認をすると、社長は激怒しておらず、激怒していたのは「上級役員」でした。

大企業故、階層も多く、伝言ゲームが生じやすいとはいえ、正直なんでこんなに事実が異なって伝わるのか、、、と思ってしまいました。「社長」と就くだけで、部門側は恐れおののきますし、それを拡大解釈してしまうことも多々あります。これを防ぐには、伝言ゲームのプレイヤーを少なくする、出来ることならダイレクトコミュニケーションをとることが一番だと思います。

さすがに何でも社長と会話するわけにはいきませんが、それでもコミュニケーションの方法は改善の余地が大ありです。特に多い2つのケースは、

A. 直接報告すべきことを秘書経由で行う
B. 報告すべきことを報告しない

A.
いわゆる、「言っておいて」系です。時間取るほどでもないので、タイミング見計らってInputしておいてほしい、というのは分かりますが、案件を一番よく理解している当事者が話す方が良いに決まってます(秘書側も、その程度で時間取らないで下さいということもあるのでこちらも悪いところがある)。私が伝えても、何か聞かれたところで答えられないかもしれないし(当然ある程度担当者に聞き込んではいますが、熟知しきれない)、社長のコメントを伝えても、部門側は直接聞いていないのでニュアンスが伝わりにくい、そして拡大解釈してしまうケースが多い。社長が言ったからといってもそこまでやらなくても、、、というケースもたくさんあります。ダイレクトコミュニケを取ってクイックに最小限に対処したほうが組織としてのスピードも上がります。

B.
社長は忙しいだろうからこれは報告しなくていいや、というやつです。この判断は事業部門からしても、秘書からしても難しいです。何でもかんでも報告されてもきり無いですが、何にも報告しないと「あれ以来何も報告ないから知らん(怒)」と言われてしまいます。ただ、社長が出席した会議で出た事案などは、他の事案と束ねて時間取って報告に行くなどの対応をされたほうがいいと思っています。

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社長は組織のトップですから、恐れおののくのは理解できます。それゆえ、適切なコミュニケがしづらいのも組織としてそうなってしまうのも理解できます。ではどうコミュニケを円滑化していくか、ここは秘書にしかできない役割と思います。上記、A,Bのようなケースでは直接報告したほうがいいですよとか、それ報告したほうがいいですよとか適宜言っていくしかないかなと。

情報の伝言ゲームによって内容が変化していき、まさに鞭のように意図した以上の打撃を事業部門などに与えてしまうと、事業部はパニックになり社内の大切な工数を浪費してしまうので。

社内トップコミュニケの円滑化、一つの秘書の機能だと思いました。

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