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ニュージーランド パイロットとしてのキャリアアップ 1

まず最初に、ニュージーランドの航空会社について概要を説明していきます。

先ずニュージーランドの特徴は、ニュージーランドを本拠地にしたエアラインが驚くほど少ない。(外国から来る航空会社はたくさんあるが)私がNZに来た1998年以降、

1、ニュージーランド航空(Inter and Domestic ) B777, 787 767 A320 ATR72 Dash8

2、JET CONNECT( Qantas NZ ) B737

3、Virgin Australia B737

4、Jet Star NZ A320

大きいところだとこのぐらいしかないのだ。 そのほかにも小型機を使って運航している会社もある。ハブ空港の数もたった3つ(Auckland ,Wellington , Christchurch )なのでニュージーランド航空(AIR NZ)以外で、国内の地方空港へ行く会社は非常に限られている。ほぼAIRNZの独壇場と言っていいのだ。つまりパイロット景気(パイロットとしての採用チャンス)はAIR NZの景気に大きく依存しているのだ。NZ国内での移動は、新幹線など電車は少なく、基本的には道路交通網で各都市間の交通手段がとても限られる。そのためエアラインでの移動が、人々の生活に不可欠になっている。かなり強気の値段設定になっていてもどの便もかなりの搭乗率がある。また以前には深夜便を出していたこともあるくらいだ。Night rider と称して夜中に運航していたことがあった。

またAIRNZが手を付けない、demandのさらに小さい空港には小型機を使った会社が運航されている。

1, KIWI Regional ,Jet stream 32

2, Sounds Air,  PC12 , C208

3,Stuart island flight, BN-2A

4,Air Chatham SAAB 340, ATR72, CV580, Metroliner 

これらの会社のパイロットもその後はAIRNZに移行する人がとても多い。

AIRNZ以外は、オーストラリアの資本が入っているのでKIWI(自分たちの事をKiwiと呼んでいる。)パイロット達の最終キャリア目標はNZ航空に入ってジェット機のキャプテンになることなのだ。ニュージーランド航空が沢山のパイロットを他の会社から沢山雇っている間がこの国でパイロット職を得やす時期なのだ。私の20年の経験だと3回くらいあった。5年~8年周期であるように思える。私がパイロットの仕事探しをした2000年近辺は長引く大不況でほとんど採用もなく、AIRNZに入社するのはアメリカNASAのパイロットになるほど難しいと言われた時代だったが、最近では2013年ごろから2020年まで異常なほどパイロットを雇い続けた。NZは未曽有の好景気だったのだ。NZ航空の2015年以降の売り上げを見れば一目瞭然だ。

またNZは島国で一番近い隣国オーストラリアまで3時間ほどある。意外と見落とすのだがフレンチポリネシア,クック諸島も同じくらいの時間で行くことが出来、KIWI達のリゾート地となっている。ただし、その他の国とは地理的に大きく離れていおり、AIRNZは環太平洋諸国との経済結びつきを強くするために環太平洋諸国に乗り上げるフライトに躍起になっている。

ほとんどの国際線は777,787など大型機を使っているが、国内線は地方空港が非常に小さいためジェット機が乗り入れることが無理な空港が多く、ターボプロップ機が主力となって国内線を構成している。地方空港のいくつかは全く管制官のいない空港もあるくらいなのだ!オーストラリア系の会社は基本的にオーストラリアからのフライトになるのでNZ国内線はやっていない。JET STARが一時期ターボプロップで国内線を運航したこともあったが、AIR NZとの生存競争に敗れて昨年撤退してしまった。

上記のように、国土は日本と同じくらいなのだが人口が少なく(日本1億2600万人 NZ482万人)、航空会社が少ないのでパイロットのチャンスをつかんだりステップアップすることは非常に難しく時間がかかり、大型機やジェット機にすぐに乗りたい人には不向きだとおもう。

NZでパイロットをすることの大きな魅力は、work and holidayのバランスがとてもいいことだと思う。特に私の様にアウトドアが趣味の人には何事にも代えがたい魅力だと思うのだ。また先にも書いたが フレンチポリネシアやクック諸島が近く 安い値段で行くことができるところも魅力だと思う。

またエアライン以外にチャーターカンパニー、貨物専門、郵便、アンビュランス(ドクターヘリの飛行機版)の会社も存在している。沢山の観光フライトが各地の空港に存在しており、CPL免許を取得してまだ日の浅いパイロットたちが飛行時間や経験を貯めるのによい環境だと思える。

NZには日本のような国立の航空大学校みたいなものは存在しない。全部を自費でパイロット免許をフライトスクールに通って取得する。それゆえに沢山のフライトスクールがNZ国内に存在している。また卒業すると成績が良ければ、慣習的にその学校でフライトインストラクターをして飛行時間を貯めてキャリアをステップアップさせている。わたしも同じようにフライトインストラクターを7年務めてエアラインに応募した。私の場合は免許を取得した学校と教官として働く学校が違ったので仕事を取るのにとても苦労した。日本の様に免許を取得したらすぐにエアラインに応募できる環境ではなく、各社から出されている飛行経験の最低要件を満たしていないと、応募用紙も受け取ってもらえないのだ。ただ、エアラインにいくまでの過程に沢山のチャンスがあり、あきらめずに前進し続ければだれでもパイロットになれるチャンスがあるのだ。

私はこの20年間を通して日本から沢山のご質問を受けたのが年齢のことだ。日本では30才を超えるとエアラインのパイロットになれないとか。とてもネガティブになって前に進めず焦っている人がいるのを知っている。

また同様に女性だからパイロットは無理だと言われたとか、、。

これは次の回でお話し致します。

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