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10月は“Blue Sky”

 ようやくほんの少し、ほんの少しだけ忙殺の毎日の中での息の仕方が身に付いた気がする。

 仕事は相変わらず立て込んでいて、毎日職場を出るのは一番遅い組である。しかしそれは予定通りなのである。つまり、出勤する前から、閉まるまで仕事に従事しようということだけを決めているのだ。本当に良くない思考だということは分かっている。でも、効率よく仕事ができない自分にあっては、そうでもしなければ片付いていかないことばかり。「最後までいることは決まっている」→「ひとまず片付いた、次は何かあるはず」→「えぇと、やることを探せ」という具合。もうちょっと落ち着いてきさえすれば、ひとまず「片付いた」→「じゃあ今日は帰るか」となるのだが。

 約3週間ほど、最後の一分まで働きづめでいると、否が応でもそこでの息の仕方が身に付くものなのだ。案の定、ストレスからか食欲はまるでない。でも、ちょっとずつ日々の荒波をサーフィングできはじめると、それはそれで充実感も得られている気もする。そしてやはり、これもまた本当に良くない思考だとも。

 それにしても10月は長かった。一学期や9月にできなかった行事が、ぎゅうぎゅうに詰め込まれたのが今月。「この10月、本当に終わるのか……」と心折れそうになること多々。かなり鍛えられた一か月だったかもしれない。または、かなり反省しなければならない一か月だった。

 急にマニアックな話になるが、日々の癒しはAllmanbrothers Bandの音楽だ。ブルージィな曲も良いが、真骨頂であるのんびりレイドバックした曲がとにかく身に染みる。“Blue Sky”のギターソロなんかは、家で少し時間が取れたら繰り返しコピーしたり、出先ならば鼻歌で口ずさんだりするくらい大好きだ。まだ自分がこの世にかすりもしていない1972年の楽曲に15年くらい前に出会って夢中になって、2021年の今また再燃しているのだから、もう多分この先死ぬまでずっと好きな曲だ。
 ディッキーベッツの手くせが自分の礎になっているのだけど、デュアンオールマンのギタープレイも大好きだ。デュアンのスライドギターは神業すぎて挑戦する気にもなれないけれど、やってみるとまた新たな視座が得られておもしろいかもしれない。これもまた15年くらい前、デュアンに倣って、楽器屋でスライドバーを買うのではなく家にある薬瓶で代用しようと確保し、今もとりあえず持ち続けている。デュアンは「コリシディン」という薬の瓶だったか。不思議とこういう知識はちっとも褪せずに頭にある。

 この10月、キャパオーバーを言い訳に周りが全然見えておらず、色々な人に迷惑をかけた。気を引き締め直して日々をやり、またそんな人たちとも楽しく話ができるようになった今。11月も怒涛の日々であることが予定の時点で確定している。やるしかないわけだが、ひとまず10月をファイティングポーズ取ったまま次に向かう形で終えられたのは良いことだ。それにしても、本当に良い間奏だなぁ“Blue Sky”。

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