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2023年の10曲

TMR制作担当の遠藤卓也です。
毎年、一年間に聴いたたくさんの楽曲から、特に印象深い10曲を選んでいます。

2023年の10曲

  • Silvia Perez Cruz - Ell no vol que el mon s'acabi

  • Eddie Chacon - The Morning Sun

  • ANOHNI and The Johnsons - Can't

  • Blur - The Narcissist

  • Yo La Tengo - Fallout

  • MOON FACE BOYS - ディスタント・サマー

  • Rubel - Na Mao do Palhaco

  • Omar Sosa & Tigana Santana - Time in Nature

  • Nils Berg Cinemascope - Loney Lucano

  • cero - Angelus Novus アンゲルス・ノーヴス


今年も良い音楽にたくさん出会えた。よく聴いた10曲(10枚)を簡単なキャプションと共にご紹介したい。

スペインの女性シンガーソングライター、Silvia Perez Cruzは久々にポップで聴きやすい21曲入りの大作を出してくれた。レコードは2枚組。ほんとうに良い曲ばかり入っているけれど、冒頭を飾る曲の優しさが身に染み込んでくる。MVの雰囲気もいい。

Eddie Chaconは、今をときめく John Carroll Kirbyプロデュースと知り、聴いてみたところすごく馴染んだ。ソウルフルで淡々としていて、ずっと聴いていられそうな一枚。レコードで一番聴いたアルバムかも。

Antony 改め ANOHNIは久しぶりにThe Johnsonsとの録音が嬉しい。演奏がいいんだ。段々と熱を帯びるバンドのアンサンブルと、ANOHNIの歌声は何度聴いても鼓動が高まってしまう。この曲は特にギターとドラムが最高だな。ANOHNI and The Johnsonsで来日してほしい。

2023年最大の失敗はSummer Sonicのチケットがそんなに早く売り切れると思わず、Blurを見逃してしまったこと。やさしい歌ばかりの新譜がほんと良かった。一曲を選ぶのが難しいほどだけど、先行シングルからアルバムを待望するようなワクワク感が(昔に戻ったみたいで)嬉しかったのでこの曲に。

2023年、最も印象深いライブは11月のYo La Tengo。前半のquiet setも美しくて素晴らしかったけれど、インターバルを挟んで鳴らされたこの曲のイントロのギターの音に震えた。ブルックリンのBunker Studioでのセッション音源が、あのライブの熱情に近い。

大学時代、隣のサークルに居られた竹下先パイがやっているバンドMOON FACE BOYSが、待望のニューアルバム「VAMOSU」をリリース。昔から竹下さんの語彙がすごく好きで、アルバム全編を通して竹下さん「らしい」言葉と音に出会えることがしあわせ。タナカさんによるアニメーションのMVも最高としか言いようがない。縁のある方々が、このようにユニークな作品を作っていることが嬉しい。また先パイと飲みに行きたいなあ。

ブラジルのシンガーソングライターRubel(フーベル)が、曲数の多い大作「As Palavras Vol. 1 & 2」を発表。「ブラジル文学やブラジルの歌の歴史についての徹底的な研究の成果」だという。楽曲のバリエーションが幅広く、聴いていて飽きない作品だけど、ブラジルのクラシカルなサンバを現代的でポップなサウンドに仕立てた、この曲が好きで繰り返し聴いた。

コンスタントにコラボレーション作品をリリースしている印象のあるキューバのピアニスト Omar Sosa と、ブラジルの Tigana Santana のデュオが素晴らしかった。サハラ以南のアフリカという二人のルーツをテーマに据えたという。白眉はラストを飾るフィールド録音と静かなピアノ、そして喋る声で構成された楽曲「Time in Nature」。

お寺の音楽会 誰そ彼に二度も出演してくれているスウェーデン出身のジャズトリオNils Berg Cinemascope。2回目の出演時は青森の舞踏家 福士正一さんとの共演だった。自身の過去のライブ映像と共に演奏するというスタイルに加え、青森の舞踏家が登場するという幻想的な音風景が忘れられない。「フィールドレコーディング×ジャムセッション」という彼らの志向は、音源においても、そのスリルが失われておらず魅力的だ。

Spotifyまとめによると、一番多く再生したアーティストはceroらしい。アルバム「eo」は、聴けば聴くほどに好きになっていくような作品だった。特に印象深いのは、最後の曲「Angelus Novus アンゲルス・ノーヴス」。このピアノの余韻と共に、2023年を締め括りたい。


おまけ|2023年の5本


2023年も取材の合間に各地のお寺周辺の音を録った。特に12月の初めに訪れた愛媛県の大下島の早朝、港にて島が起きる瞬間の音をヘッドフォンで聴いたことがとても新鮮で印象深い体験だった。2024年もヘッドフォンをつけてできる限りの「Time in Nature」を過ごしたいなあ。
そして適度に文化に出入りしつつ、酒場や喫茶店で仲間たちに会えたらしあわせ。

来年もきっと みんな元気で
we'll meet again on sunny day

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