見出し画像

TMR編集室日誌22.06.13|お寺のたそがれ時に立ち現れる音空間「誰そ彼」

Podcast「Temple Morning Radio(略称TMR)」の編集・配信を担当する遠藤卓也がお届けする、仏教文化・お経のフィールド録音等に関するエッセイ

日付がかわって一昨日の6/11(土)久しぶりの「お寺の音楽会 誰そ彼」やりました。コロナ前からお休みモードだったので、前回から4年ぶり33回目の開催です。なんとなく「三十三回忌」って言いたくなっちゃう(笑)

昨年リリースされた笹久保伸さんの「CHICHIBU」という作品が好きすぎて、新作「Venus Penguin」のリリースツアー会場として手を挙げました。
光明寺本堂でFly SoundのPAで聴く笹久保伸のギターなんて最高に決まってる!と確信しつつも、予約がすぐには伸びずにドキドキの日々でした。

画像1

しかし蓋を開けてみたら結局77名の方にご来場いただき「誰そ彼」の音空間を一緒に味わうことができました。多くの方に、この組み合わせの素晴らしさをわかってもらえて嬉しい。やはり僕の確信は当たっていた!

ゲストとして来てくださったmarucoporoporoさんの声とギターは、異界らしさを増幅させる不思議な効果があり、デュオで演奏された「アロルキスネ 2月の歌」にはじーんとしてしまった。ほんとすごくよかったです。

画像2

「音の巡礼」をスペシャルライブバージョンで

今回、大ファンであるところの笹久保さんの新作リリースをお祝いできることは光栄でありつつも、せっかくお寺でやるのだから「誰そ彼らしさ」はちゃんと出したいなと考えていました。
そこでチャレンジしたのは、お寺は切っても切り離せない要素である「ローカル性」を持ち込むこと。全国各地のお寺のお経の音をお届けしている「音の巡礼」コーナーをライブバージョンでやってみることに。

そこで、笹久保さんの活動拠点である秩父のお坊さんたちにお声がけし、曹洞宗僧侶4名による荘厳な「般若心経」をお勤めしました。
DJまでやってくれた野村圭秀さん、秩父三十四観音霊場の荒谷哲巨さん、丹羽隆浩さん、光明寺ご近所の久松彰彦さん、ありがとうございました!

画像3

縁起としか言いようのない音空間

毎回、当日にむけてどんどん不安が高まってくるのですが、お寺にスタッフたちが集まって準備し始めると、自分の心配が馬鹿らしく思えるほどに、みんながするするっと動いてくれて場がちゃんと整い始める。僕は、ピタゴラ装置のはじまりの玉をつんと押すだけの係みたいな感じ。
自分なんて居なくてもこの場は成り立っていたんじゃないかと思える。でもやはり自分が居なければこの場は現れなかったとも思う。僕にとって「誰そ彼」の日ほど、縁起という言葉を実感する日はないのです。

久々にこの感覚を味わえてよかった。生きていく上でとても大切な実感を得られる場として、今後もマイペースに続けていきたい。
出演者もスタッフもお客さんも、そして光明寺の皆さんも、関わってくれている全ての人たちに感謝です!

お寺のたそがれ時に立ち現れる、縁起としか言いようのない音空間へ、ようこそお参りくださいました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?