「音の巡礼」の先輩たち
noteサークル「音巡り講」メンバーの方から
遠藤さん、元チャットモンチーの高橋久美子さんの「音、聴こう(紀行)」ってのあります。
とのメッセージとともに、TBSラジオ「アフター6ジャンクション」5/12放送回のリンクを送っていただきました。
説明によると、高橋久美子さんは無類の旅好きで旅エッセイも出版されていて、旅先では「記念写真」ならぬ「記念録音」をなさっているとのこと。まさに「音の巡礼」の先輩ではないか!と思って、ポッドキャストを聴いてみました。
番組内では高橋さんがこれまで録音した「音」が紹介されるのですが、宗教や習俗にまつわる「音」が多い印象。たくさん録音されているであろうコレクションから、巡礼感の高い音を選ばれていることを嬉しく思いました。
いつか高橋さんに、世界の聖地での「記念録音」のお話しを詳しく聴いてみたい!
ガムランと虫の声と
先日、ポッドキャスト『お坊さんとカルチャー放談』にて「大瀧詠一&細野晴臣」特集をしたのをきっかけに、お二人の対談を読みたいと思って購入した『対談の本 ― ロックンロールから枝豆まで』。
テイ・トウワさんと細野さんの対談では、テイさんがバリでガムランを現地録音した時の話がでてきます。ドッジボール大のマイクを吊るして、バックにはチルアウトみたいな鶏の声が聴こえる中で、ガムランの演奏を録音したと。演奏家から「宗教音楽だからダンスミュージックにのせないでほしい」と言われるのでは?という懸念もあったようですが、結局ノリノリで楽しそうにやってくれたというエピソード(笑)
予定外に「3曲やってから本番に望みたい」との申し出があり、理由を聞くと「ちゃんと神様に近づきたい」から。僕は「へー、そういうこともあるのか」と素直に受け取ったけど、テイさんと細野さんは「単に演奏がしたいだけなんだなw」とミュージシャン的に捉えているところが面白い。
単にノリノリで演奏したかった(だけかもしれない・笑)彼らのライブ音源は、Sweet Robots Against The Machineのアルバムで聴くことができます。いや素晴らしいです。このジャケットの作品にガムランを収録しようと思ったテイさんも本当に凄い方だー!
で、この時にテイさんが宿泊したホテルで1時間くらいDAT(Digital Audio Tape)を回して録音した自然音が、この二枚組CDのDisc2としてリリースされています。当時、高校生の僕はHMVで試聴してちょっと意味がわからなかったのですが、今ならわかる!このバリの自然音CD最高〜。(残念ながらDisc2はSpotifyには無いので、中古レコード店でお求めください)
その話をうけて語られる、細野さんのバリの自然音エピソードもいい。
細野 僕もバリに行くと必ず聴くんだよ。ジャングルの中に丸い広場みたいなところがあって。夕方、涼しくなるとき鳴き出す虫がいるんだよね。それが、ある1点から始まってずーっと広場を囲むように360度で鳴くようになるんだ。時間が経つにしたがって、サラウンドの鳴き声に包囲されるというか。
サラウンドの虫や蛙の声といえば、僕は永平寺近くの天龍寺さんに泊めていただいた「禅の旅」を思い出します。坐禅道場で寝かせていただいたのですが、たくさんの自然の音に囲まれて心地よい疲労感の中でぐっすり眠った感覚が身体に染み込んでいます。
今、バリに行って虫や鶏の音を録ろう!と思っても難しいことですし、「アフター6ジャンクション」でも高橋さんが紹介していたノートルダム寺院の鐘の音は火災によってもう聴けないのでは?という話が出ていました。
「音の巡礼」は一期一会。はやくまたマイクを持って旅に出たいものです。
「貴重な音」といえば、身延山で録音させてもらったロープウェーの添乗員さんによるガイドアナウンスは、ロープウェーの機体が最新型に変わったことで動画音声に代わったとのこと。今となっては聴けない貴重な音風景となりました。
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