「その奥の何か」

今はホームページも閉じているし、営業的な活動はほぼまったくしていないので、個人セッションの依頼は随分と減った。それでも、1,2ヶ月に1人ぐらいの割合では依頼が来る。

どういう人が依頼をしてくれるのか。

より根本的な根深いところの何かがクリアにならない限り、その違和感が取り除かれないこと。取り除かれた気になったとしてもそれは一時的であったり、他に問題が移行するだけであること。機械を修理するようには解決しないことを気づいている人(気づき始めている人)が、多くの場合、僕にセッションの依頼をしてくる。「そこまで考えてなかった」とクライアントに聞くと言われそうだけれど、ふらっと入る飲食店のような選択でセラピストやトレーナーを選ぶはずもなく、言語化できない何かによって来てくださったのだろうと考えている。

色々な治療・セラピー、トレーニングジムやヨガスタジオなどに通ったものの、クリアにならなくて来た。そういった人も少なからずいる。それでも世の中には無数の似たようなものがあって、多くは宣伝をきちんとしているから、やはり意識・無意識に関わらず自分を選んでくださった理由があるのだろうと思う。

昨日は、「首に違和感がある」という方との初めてのセッションだった。

首の違和感の奥の何か。

どうあれ、もう少し奥にあるボディワークの世界の入り口にその人は立っている。自分にもそんな日がかつてはあったし、その決定的な出逢いによって今の自分がある。

首の違和感自体をなくすことと、その奥にある何かを感じ取ること。その人のアウェアネス(気づき)はいつ、どう起きるのか。寄り添い、身体的な問題や心理的エネルギー的な問題も含めて観察する。ウェイティングタッチ・アウェアネスタッチと呼ばれる独特のタッチを使いながら、待つ。

触れていると、何かのイメージが湧きあがってくることがある。そのイメージに「その奥にある何か」の鍵があることが多い。セッション前の少しの会話やその人の佇まい、それらへの観察からも「その奥にある何か」は推測できる。とはいえ、自分のこれまでの人生の記憶、自分という個性による思い込みや身勝手な想像である可能性もある。実際、腰痛セミナーを受けたあとの治療家は腰痛の患者ばかり発見するという笑えない笑い話もある。筋肉や筋膜・結合組織の硬直、過緊張からもたくさんの情報が得られる。単純な話、脳の神経支配である筋肉群の緊張は「その奥にある何か」を提示している。

自分の身体の状態を整え、心理的エネルギー的なものも含めてニュートラルに、純粋な状態に静かに落ち着けていく。その上で、探偵のように集めた事実から推理してそして働きかけていく。

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