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紅葉の季節になりましたね。

あちこちでこの週末には紅葉狩りのベストシーズンになりそうですね。もちろん陶磁美術館でも、建物の中庭のサンクトガーデンにある紅葉が今年は非常に美しく色づいています。やはり気温と日照条件(葉の部分にしっかりと栄養がないと真っ赤にならないらしい)の関係で、去年は茶色みがかってましたからね。来年の今頃には、もうこの紅葉を愛でるのは残った職員だけ・・・。そう考えると、感慨深い物がありますね。誰もお客さんの居ない美術館、(いまでもたまにありますが。)いつかきっとリニューアルオープンして賑わいを見せてくれる日が来ることでしょう。
話は変わりますが、陶磁器の中でも紅葉狩りを楽しめる作品がありますね。以前当館のテーマ展示で特集した『犬山焼』によく使われていたデザイン、「雲錦模様」です。こちらは一つの器の中に桜と紅葉、二つの季節が描きだされている意匠のことを、桜の咲き誇った枝を雲、真っ赤に色づいたもみじを錦に例えて呼んだモノです。犬山焼というのは京焼の流れをくんだデザインで知られており、この雲錦模様もオリジナルはかの有名な尾形乾山の作品が挙げられます。器というのは本来おもに季節ごとの料理などを盛り付けて使用する物ですから、春の器と秋の器が共通であるならば管理の手間も減って一石二鳥と乾山が考えたかどうかは定かではありませんが。こちらの模様は、犬山焼では、中国風の赤絵といわれる絵付けのデザインと並ぶ人気ぶりであったのが、利用頻度などからも分かります。鮮やかな紅葉を器の中でも愛でながらもみじまんじゅうを味わい、雲錦模様の乾山の茶碗で御抹茶を頂いてみたいものですね。
現在当館のお茶室は閉室しており、あいにく紅葉を愛でながらのお茶会はかないませんが、二階常設展示室内には、見事に艶やかな桜と紅葉が共演した蓋物の展示がございます。同じ展示室内にはハンズオンレプリカで、所謂銘品の抹茶茶碗の体験展示もございますので、想像の中で銘品茶碗を味わって器の紅葉を愛でてみてくださいませ。もちろん中庭の紅葉も、庭園のトウカエデも美しく紅葉して、皆様をおもてなししています。
陶磁美術館へ、ようこそ。(お弁当水筒、忘れずに。)

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