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展覧会レクチャーより。三章

日々の忙しさにかまけてバタバタしているうちに、あっという間に展覧会が閉幕を迎えてしまいました。
第三章のテーマは『場の記憶』かなり抽象的なテーマで、作品群も第二章とは変わり、いわゆる『現代アート』と言われるジャンルになりますので、普段当館に観覧に見えられるようなお客様には、
『これは、何ですか』とか、『どうやって見るんですか』というご質問を受けることの多い作品が並んでいます。上に挙げたご質問の答えとしては、
『好きなように見て、感じてください。』とお答えするしかありません。

第三章  まずは内田鋼一氏の作品から始まります。展示室一室をすべて使用して内田氏本人によって構成された室内は、入り口から右側壁の展示ケースを、四日市にある自身の美術館で開催された展覧会のアーカイブ展示、そのほかのスペースにオブジェや、壺、茶碗や水差しなどの茶道具などを展示した空間となっています。アーカイブ展示では瀬戸常滑などの有名な窯業地に囲まれた『萬古焼』がどのような生存戦略を持って生き残ってきたのかを見て取ることができます。
世界各地での制作などの『記憶』から生み出された内田鋼一氏の作品は、多国籍といわれることが多く、多彩な質感を持って見る者を世界各国へと誘います。
そこから通路へと向かうとそこに展示されているのは酒井智也氏の作品群。こちらはろくろで作り出したパーツを組み合わせることによって、どこかで見たような記憶を呼び覚ますカタチをテーマにした作品『Re  collection Series』と、『1934年生まれの女性の記憶によって形作られた『Heritage
 Series』。鮮やかでカラフルでポップな見た目が可愛らしい展示になっています
そしてトップ画面に掲載した階段から吹き抜けになった地下の展示室に降りていくとそれぞれが『記憶』をテーマにした作品が展示されています。
まずは吹き抜けの階段の周辺に中田ナオトによるインスタレーション作品『プレイランド』陶磁器作品や、写真パネル、風船などのオブジェで構成されています。次に戸田守宣の収納式インスタレーションなどが目に入ります。そのほかの作品はまず、油彩画で知られる安藤正子氏の陶芸技法によるレリーフ、伊藤慶二氏の顔同氏がまるで会話しているかのような作品『面(つら)』。写真に写っている岩村遠氏の『Neo Jomon Haniwa -Majin-』、
そしてステンドグラス作家でもある松藤孝一氏の、ポーランド人神父をかたどった瀬戸ノベルティーを使用した『ポーランドの空の向こうのあなたへ』
それぞれがなかなかに難解で、観ながらも考えさせられるような作品です。
そして最後の作品が、当館大駐車場の敷地にある古窯館内壁に設置された
フレスコ画家川田知志氏による瀬戸の原風景『煙突のある風景』を描いた陶壁画です。ざっくりと駆け足でのご紹介となりました。
展示は終了してしまいましたが、現在まだ図録の販売はしておりますので、詳しくご覧になりたい方はぜひ平安のやきもの展と併せてお買い求めくださいませ。

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