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屋根裏のBAR#7

カリの事は人として好きだ
それは出会った時から変わらない
変わったのはわたしの考えかただと思う
ちょうど変わっていって走っている最中に、カリからお願いされて屋根裏に店を誘致した
コロナ禍に関わらず、わたしは船首の向きを強引に新たな海に向けた
誰もが静止している中、その中を進んでみたかった
手に入るものに価値があると思ったからだ
コロナが変異するようにわたしも変異していった
Withコロナの期間はあがいてあがいた
協力金などを援護射撃にして事業をおこしていった
店舗を増やして、別の事業にも手を出していった
そこからのわたしの軌跡をカリは1番近くで見ていたはずである
振り返って士気をあげようと鼓舞した時、⁉︎だったカリの顔を覚えている
わたしはわたしの戦に夢中だったのだ
全然伝わってなかったのである
そりゃそうか、わたしの戦の前線の面子ではなかったのだ
飲食店でBARはなかなかキツい仕事だと感じている
体もキツいし、精神的にもキツくなる
それでいてあまり儲からないのである
人が好きで酒が好きならできると思うが、あまりオススメは出来ない
店をやれば自由に動けなくなるのも欠点のひとつだと思う
手に入るのはBARの店主と言う看板くらいだ
経験を通して色々な事をカリには助言したと思う
それでもBARをやりたいなら本気でやって欲しいと思っている
わたしは9年やってみて、この先前と同じ様なやり方は出来ない
駒を進めたい、だから新しいチャレンジを試みて提示してきたつもりだった
それを少しでも自身に取り込んで、新しい世界をわたしに見せて欲しかった
もう少し全体のギアを上げたいとも思っていた
まったく成長しないカリの事も清算したいと思っていた
6月の中旬にカリと今後について話し合いの場を設けた
わたしは素直に洗いざらい話した
わたしがこれからどういう風に進んでいくかなども説明した
結局、カリはどうしていきたいのか?
二足の草鞋は40代になるカリには肉体的にも精神的にも厳しい
本気でBAR一本で行くのかどうか
やるのか?やらないのか?そんな話し合いだった
わたしは単純に挑戦して欲しかった
はっきりした口調で目を見て言い放って欲しかった
カリは出会った時よりさらに煮込まれた、煮込んだタイ人の顔をしていた
服装は若かったが、カリもまたおっさんの顔になっていた
ははははははは
そりゃそうだ38歳だもんなー

続く

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