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ワルツ

A「それでも君と踊りたいんだ」
A「一緒にワルツを踊らないか」
B「男同士ですよ それに僕 ワルツ踊った時無いです」
A「かまわないよ 君と踊ると決めたんだ さぁ踊ろう」
A「足を踏むのを恐れちゃいけないよ 足を踏んでも謝らないで続けてよ」
A「さぁワルツを踊ろう さぁ恐れず足を踏み込んで」
B「あの人達の目が気になります」
A「蹴飛ばしてくれてもかまわないよ」
A「掌と足に集中して、目は真直ぐ」
A「球体の上にいるイメージで」
A「恐くない 恐くない」
A「少し遠心力をいれるよ」
B「あれ 体が軽くなります」
A「基本的に君は軸に力がはいってるから」
A「君は普段から自分で作った軸を信じすぎている」
A「もう少し まかせて 鋭く足を踏み込んで」
B「あの人達の目がきにならなくなってきました」
A「あの人達に意識を集中してるからだよ」
A「あの人達は君の登場人物じゃない」
A「どう見られたいかにとらわれているだけ 錯覚だよ」
A「恐れず もっと踊りに集中して」
B「上手に踊れてるでしょうか」
A「いいよ 12回 足を踏まれた」
A「痛みが心地好いよ」
A「拮抗して来た 足を踏むかもしれない」
A「その時は痛みを受け入れて」
B「はい」
A「速度をあげるよ」
B「はい」
A「君の魂の所在地を教えてくれよ」
B「わかりません」
A「あの人達はまだ見てるかな」
B「いえあの人たちはいなくなりました」
A「何か見えるかい?」
B「そのかわり点在してる座標が見えます」
B「一際輝く座標があります」
B「あれが僕の目指す座標だと思います」
B「心地よいし暖かいです」
B「まぎれもなくあれが僕の座標です」
A「それは偽物だ」
B「えっ?」
A「誰かが通過した座標だ」
A「偽物だ」
B「僕の座標はどこにありますか?」
A「全ての座標は通過された偽物だ」
B「どういう事ですか」
A「これが座標だ」
B「痛い」
B「痛い」
B「痛いです 何度も踏まないでください」
A「見える座標は通過された偽物だ」
A「めまぐるしく変わる時代も通過する偽物だ」
A「新しく生まれる価値観も通過する偽物だ」
A「心の痛みも通過する偽物だ」
A「あの人達の目も通過する偽物だ」
B「見えた座標は通過されている?」
B「僕だけの座標だと信じて疑わなかった?」
B「誰もが呼び込んだ座標を自分自身の座標だと信じたい?」
B「そんな事は無い 僕だけの座標だ あれは僕の座標だ」
A「それはすでに座標になった時点で通過されている」
A「座標は目指すものではない」
A「さぁ もっと踏み合おう」
B「痛いです 痛いです」
A「座標上を行く者たちはおおいい それはそれで良い」
B「やめてください」
B「痛いです」
A「人の痛みに鈍感で 自分自身の痛みをおそれている人がおおすぎる」
A「時代のせいじゃない」
B「痛みがこわいんだ」
A「痛みをわかちあえる人がわたしには必要だ」
A「臆病な人には興味が無い」
A「だから君と踊りたいんだ」
A「わたしは君と痛みを共有したい」
A「足を踏めば痛いんだよ」
A「わすれるな痛みが伴う事を」
B「でもやっぱり痛いですね」
A「さぁ踊ろうよ」
B「踊りましょう」
A「痛いなー」
A「下手くそ」
B「すいません まだ痛みに慣れて無くて」
A「痛みはひとつの通過儀礼だ」
A「次の踊りに行こうか」
B「はい」
A「次はサンバを踊ろう」
B「着替えましょうか?」
A「君もなかなかわかってきたじゃないか」
A「とびきり陽気なやつがある それに着替えよう」


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