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『ファーストラヴ』

2021年2/17鑑賞
昨今、世間では鬼滅の刃あたりから映画ブームが再燃しており『花束みたいな恋をした』もかなり話題作となっている。坂元裕二さんの脚本ということでもちろん拝見してとても面白かったのだが、メインカルチャーdisな主役2人の作品であるため大ヒットというのが少し訝しく感じられる。

一方で、最近始まったのにも関わらずそこまで話題になってない『ファーストラヴ』を鑑賞した。個人的にはもっと話題になってもいいくらい面白かった。ストーリーもしっかりと濃密で展開が読めない形になっていたし、何より出ている役者たちの怪演が光った。主演北川景子は言わずもがな、中村倫也のSチックなところなウシジマくんから思っていたけどハマり役だし、芳根京子もサイコチックだけど何かそれだけに収まらない役も見事だったし、何よりこの映画において唯一まともな男が「窪塚洋介」というのは、まさに監督がしめた!と思うような見事なミスリードだし、写真家というのが違和感もなく見れた。

作品の内容についてであるが、「男の愚かさ」と「家庭内教育の重要性」を説いた作品であるように感じた。上記にもあるように、物語では窪塚の役以外の男はみんなクズであり、幼児回春や家庭内DVや未成年淫行やセックス依存症など愚かな男ばかりが出てくる。実際に主に芳根京子役の環菜や北川景子役の由紀がその男たちに深いトラウマを負わされる形になる。物語では、過剰に描かれていたが日常でも潜んでいる光景なのではないかと感じた。環菜に対し無理やりセックスも強要する元彼は罪悪感も感じておらず、それは結果的には環菜が相手の要求に応えて笑顔を作っていただけであり、この積み重ねが彼女の感情を殺していったと。この描写のような機微は男には察することが難しく、だからこそ見えないところで女性を傷つけてしまっている可能性があるかもしれないというのは、私自身気をつけなければならないなと感じた。

家庭内教育については、環奈のお父さん役である板尾や由紀の父親が偏った性癖の持ち主でそれが子どもたちの人生に重く強くのしかかっていく。『ファーストラヴ』という題名に上映後は違和感があったが北川景子と中村倫也の話ではなく、父親との愛の話を表現した題名であったと後から気づいたときには、深く納得した。

Filmarksを見ても高評価という作品ではないが、とても良質な作品で見て良かったと思える。

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