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ネギ坊主との邂逅

 キジカクシ目ヒガンバナ科ネギ属ネギ
学名はAllium fistulosum(≒中空のニンニク)
考えてみれば野菜であるネギは植物だ。

 ここ数年、長ネギの消費が増えた。母はおみそ汁の仕上げに小ネギをちらすほうが好きであり、実際そのおみそ汁はおいしかったので、長ネギを買うのは角煮や塩焼きそばを作るときなど限られたものであった。ときたま料理番をするようになってからは、じっくり火を入れたネギのおみそ汁のおいしさに心を動かされ、気がつけば八百屋やスーパーで手を伸ばさせられていた。

 私は長ネギの中でも青い部分がお気に入りで、買ったらすぐに使うため、これまで不意に育ったネギといえば、巻尺の円の中心を押し出したように白い中に淡い緑の部分が突き出た姿を真っ先に想像していた。

 この前塩焼きそばを作った。私は白ネギが一番おいしく食べられる料理が塩焼きそばだと思っている。残りを台所に放置して4日が経ち、いつの間にか見えなかったネギ坊主が立派に姿を現していた。ネギ坊主といえば、からくりの小さなお侍さんしか思い浮かばず、食べ方は聞いたことがなかったので、とりあえずウインナーと炒めてみた。

 束になった蕾たちの柔らかく歯切れの良い食感が癖になる。ほろ苦い味もウインナーに合ってなかなかおいしかった。飲めるようになってから1週間もせずに好きになったハイボールにも合う。食べられるシーズンが限られることがとても惜しく思える。この命であと何回ネギ坊主を食べられるだろうか。次からはネギ坊主のためのレシピも用意したい。そして来世はぜひネギ坊主が主食の世界に生をいただければ…

参照ウェブサイト:


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