Juventusのユニフォームの『伝統』とは何か
前回のユベントスアパレルについてはたのしく書けたが、今回のユニフォームはちょっとそうはいかないかもしれない。ユニフォーム(特にホーム)のデザインというのは、チームの『伝統』が重要視されるところである。
22/23シーズンの終わり、来季に着るユベントスのユニフォームが発表された。
日本のユベントスファンからは一斉に「阪神タイガースだ!!」という声があがった。Twitterでは連日のように阪神イジリがくり広げられており、私もいくつか投稿した。
イタリアでは『革新的』なデザインだとして、好意的な声もあると聞く。阪神カラーということは置いといて、どうも日本のユベントスファンには反対意見が比較的多いように感じる。それはおそらくこれまでの『オレたちとadidasのすれちがい』があるのだと思う。
adidas初期
ちなみにadidas初年度から数年はサポーターも『伝統』に敬意をはらったユニフォームに好意的だったように思う。また、チームもリーグ優勝や欧州で勝ち上がるなど結果を残していた。
そしてこの120周年ユニフォーム。50年代ユニフォームからインスパイアされ、最新の技術で作られた一着。1897枚の数量限定で販売された。ちなみに私、持ってる。宝物です。そして数年が経ち、ユベントスのadidasデザイナーは独創的なデザインに挑戦していく。
インク切れてる?20/21
まずは「なんでこうしたの?」と言われた一着。
なぜにかすれ?書道をイメージ?まっすぐストライプだったらめっちゃシンプルで良かったんじゃないの?という声が多くあった。ちなみに後ろ姿は
正直なところ、まっすぐストライプを引くのは簡単だし、『これまでと同じ』を求めている一部のファンは満足するだろう。しかし、CR7をチームに加えファン層が拡大したユベントスは新しいものを作る、挑戦する必要にかられていたのではないかと感じている。
まっすぐストライプ引けないのか?!22/23
前年度の21/22が王道のストライプで古くからのファンからは好評であった次のシーズン。
もしかしたらadidasデザイナーはなにか物足りないものを感じていたのかもしれない。ユベントスのDNAは『革新』、無難なストライプを何年も連続して続けていいのか?!いや、挑戦が必要なのではないか?!そしてできたユニフォームが
いいですかみなさん、正三角形と正三角形があわさると平行四辺形になるのですよ〜ユニフォームだった。正直、私は好きなデザインだった。しかしやはり、「まっすぐストライプ引けないのか?!」と言われてしまうことになる。そして最後に紹介するのは、最初に『オレたちとadidasのすれちがい』となったモデルだ。
ストライプですらなし!19/20
近年でいちばんの問題作であると思う。そのユニフォームはなんとストライプですらなかったのだ。
さらに『BE THE STRIPES』というコンセプトが発表された。
一枚ではツートンカラーだが、このユニフォームを着て並び、スタジアムを埋めると、ストライプになる。みんな、ストライプになれ!というコンセプトだ。個人的にはすごく素敵なコンセプトだと思った。コンセプトは…!!
皮肉なことにこのシーズンにコロナ禍が起こり、シーズン途中からスタジアムは無観客となった。あまりにもタイミングが悪すぎる。思うに、このシーズンはCR7も在籍している、そして長く続いたアッレグリ政権が終わり、サッリへと監督が変わったときだった。これまでとはちがう、新しいユベントスをデザイナーとして打ち出していこうとしたことは想像できる。
とにかくユベントスファンからは批判されたこのユニフォームだが、私の身近なサッカーを知らない人からはカワイイと言われた。おそらく、古くからのサポーターが抱く『ユベントスらしさ』と現代を生きる若者の『カッコよさ、カワイさ』が離れてきているのかもしれない。
これからのビアンコネーロ
おそらく24/25も、26/27も、「なんでそんなユニフォームにするんだ?!」と私を含む古くからのサポーターは言うのだと思う。そして一方で、新しい価値観を持ったファンが「かっこいいよね」と言う。
ユベントスのDNAは『改革』である。そうであるならば、あのストライプでない19/20が近年最もユベントスらしさにあふれるユニフォームだったのではないか。伝統は壊すもの、無難なところに落ち着くことを良しとせず、常に挑戦をしていく精神がそこにはある。
古くからのサポーターの批判はあるだろうが、adidasのデザイナーには存分に暴れてほしい。初見で批判した私たちに(あれ…でもだんだんカッコよく見えてきた)と思わせてほしい。そう考えたら、来季の23/24もほら、カッコよく見えてきた?
でも…たまには王道ストライプも出してね!数年に一回でいいから!!