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浴衣

中学生の時に着物屋さんで浴衣を買ってもらった。中学の行事として盆踊り大会があって、女の子は大体浴衣を着て来ていたからだ。

そんな理由で買いに行った浴衣なのに中学生が着るには少し大人っぽく、落ち着いた色のものを選んだ。似合うかどうかより一目惚れしてしまったので買ったという方が正しい。帯も洒落ていて、自分で結ぶものを買った。親に着せてもらおうと思っていたので着付けが大変だとかは考えていなかった。下駄は浴衣に合うものがなかったので、かわいいけれどこの浴衣にはどうだろうかというものをとりあえず買った。あまり気に入っていなかったのと、足が痛くなるのでそれから履いていない。

それからしばらく着る機会がなく、社会人になって少し経ってやっと着る機会は自分で作るものという事に気が付いた。

この歳になってやっと本当に似合いそうな浴衣だ。この時浴衣がものすごく高かったことを母が教えてくれた。浴衣が3万円だと聞いて、仕舞い込んでいて着なかったことを本当に申し訳なく思った。よくその額を中学生に出せたなと思った。もしかしたら好みが変わって着なくなる可能性もあったのに。帯も高かったと言われ、しっかり毎年着れるようにとすぐさま浴衣の着付けレッスンを申し込んだ。

やってみるとなかなか難しい。工程が多いことと、大きな鏡がないと後ろがどうなっているか分からないため1人では上手く着ることが出来ないこと。何回か教えてもらってやっても隅々までバッチリうまくいく事はなく、手直ししてもらってやっと綺麗になった。これは練習が必要だ。

私が苦手なのはお端折りの背中側の処理と、帯を結ぶ事、帯を結んで後ろに回した際に伊達巻などが見えてしまう事だ。こればっかりは慣れが必要なので休みのたびに練習をし、どうしても上達しないようであればまたレッスンに行こうと思っている。

ああそれにしても、浴衣は暑い。清涼感なんて少しもない。長袖長ズボンと大差ないように思う。盛夏に着たものなら、灼熱の我慢比べではないか。夏がもう少し涼しければ、浴衣を着る機会も増えるというのに。

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