見出し画像

上海日本対抗戦〜強い人がこの世に存在してる幸せ〜

連珠がプロ化されてる中国は競技人口も多く沢山のスポンサーがつき、各都市に棋院があるのですが、その中の上海棋院から日本との団体対抗戦をやりたいという企画があがり、高段者の先生方に混じって参加させてもらいました。どうやら上海側からの希望で女性vs女性のカードを組みたかったようで、女性棋士があまり居ないため必然的に私が参加できることとなりました。とても有難い機会でラッキーでしたが、このような要望があったときに日本には選手が居ません……とならなかったことがまず良かったなと思いました。最近はすっかり自分の為に連珠をやるように意識が変わったのですが、やはり女性人口の少なさはいつも気がかりであり、まだまだ日本の連珠界のお役に立ちたいという思いも残っているのでした。

大興奮したのは、上海側の選手にWT2017で女子チャンピオンとなったLenny Chienがいたことです。元々は台湾の方で、現在上海に移住されてるとか。台湾はWT2019で参加者がおらず、Lennyの打つところも見たことが無かったので私の中で謎に包まれた強豪でした。台湾で開催されたWT2017は過去最高のレベルと言われていて、汪清清などアジアの強豪が多数参加する中圧勝したLennyは、きっとめちゃくちゃ強いんだろうなぁ!と想像してました。

画像1

いつか対戦したい一人だったので、こんな幸運なことはありません。何しろコロナ禍のため世界戦の先行きが不透明で、日々のモチベーションの維持が難しい時期です。この1ヶ月はLennyと対局できる!と毎日の練習がとても楽しくできました。

中でもお世話になったのはrenju noteです。棋士別の棋譜検索が可能になり、初めて対戦相手の棋譜をじっくり研究するということができ、(今までやってなかったんかい)棋士になった気分でした(笑)。こうやって対局に向き合う時間こそが私にとって大事なものであり、過去の対局から逃げていた自分を乗り越えるためにやっています。良いツールが後押ししてくれてとても助かりました。

画像2

本番は慣れない中国の対局サイトだったので、ユース選手権と同じ方式で、着手されたところまで盤で並べて考えました。自分の手も着手するまでは置かず、あくまで画面ではなく実際の盤で考えるためのやり方です。この方式の方が私は集中できるみたいで、最近のオンライン大会は全て取り入れてます。

レイニーは物凄く攻めが強く、詰み能力が高い。本局も序盤で先攻を許してしまい防戦一方になりました。ただ自分のやってきたことを信じて歯を食いしばってひたすら受けてました。気持ちは強く保ててたと思います。黒の攻めが切れたのがはっきりしたところでレイニーの時間が切れて、何が起こったかわからないのとずっと緊張してたので放心状態でした。上位者の攻めを受ける怖い時間を乗り切れたのはとても嬉しく、またWTに出た頃よりトップ層と戦えてる実感があり感無量でした。

Lennyは2Rで神谷八段相手に互角の勝負をしていて、まだまだ実力には大きな差がありますが、WTで活躍する夢に少し近づいたというか、夢を持っててもいいんだなと許されたような気がしてとても嬉しかったです。

画像3

2RのWeinan Zhengも国内女子チャンピオンになったことのある強豪です。ただ勝てると思ってなかった1Rだったので、対局が始まってもふわふわして平静を取り戻せませんでした。さらに相手が序盤で間違えてくれて必勝局面になり、また勝ったかも!?と完全にふわついていました。

画像4

メンタルを保たないで勝てるほど甘くは無いです。集中を欠いたため一手ばったりの失着をしてしまいどうにも挽回できない道に進んでしまいました。評価値で言えばきっと98%から2%になったぐらいの…。これは勝てたはずの連珠だったので本当に悔しいですし、肝心なところで詰めが甘いという最近の課題をまた繰り返してしまいました。

最終結果は日本惨敗で、上海棋士の攻めの鋭さ、終盤力を痛感しました。でもこの結果は日本の連珠界のために良かったと思ってます。なぜなら日本は連珠人口が少なく、トップ棋士の人達は競争相手が少ない。もっと連珠を高めるには強い人がいることが大事なことで、彼らが刺激を受けて更に高い境地を目指してくれるなら嬉しいからです。応援してる棋士が惨敗するところを見てワクワク嬉しくなる自分もどうかと思いますが、刺激がなく刀が錆び付いてしまうより余程良いと思ってます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?