見出し画像

新鋭戦振り返り〜2つの幸福を味わえた1日〜

私は対局にあたって毎回幾つかの裏テーマを作るのですが、今回の新鋭戦の課題テーマの一つが「誰に対しても謙虚な気持ちで臨む」でした。

というのも先日の珠王戦で一年ぶりに中村茂名人に当たったとき、嬉しさで舞い上がってしまい、また中村茂であることを極端に意識しすぎてしまったのか、名人が三を引いた瞬間に「詰まされるんだ!😱」と脳が恐怖でバグり、受けがあるのに突然投了してしまうという恥ずかしい棋譜を残してしまったのです。

その後も勝ち上がって岡部九段に当たった時、喜び過ぎたあまり、岡部局が終わった瞬間抜け殻のようになり後半2局完全にバグってしまいました。

喜ぶことはいいのですが、一喜一憂しすぎて盤面に集中できないのは良くない。滅多に当たらないために興奮するならば、いっそのこと普段から全員をナカムラシゲルだと思って対局しようと思いました。

結果は80点の出来だったでしょうか。伸び盛りの後輩との対戦でもリスペクトを持って臨んだ結果明らかに珠王戦より没頭できたし、内容も良くなりました。

マイナス20点は長副戦です。(どうしたらナガソエさんに勝てるのか?)と意識してしまい、相手へのリスペクトと盤上をフラットに見ることを置き去りにしてました。この局は残り4つに比べて著しく内容が悪かったです。岡部戦で詰みの局面で気づけなかった時に、勝とうという気持ちがなきゃチャンスがきても気づかないんだなと痛感したのですが、それと盤上をちゃんと見ずに相手だけに勝とうとする姿勢は別でした。この辺りは難しいですが、やはり謙虚な気持ちで臨まないと棋力の差以上に判断がおかしくなりますね。

長副戦はいつも自分が連珠を全く理解してないことを痛感させられます。いつのまにか負けになっていて大局観がおかしかったことに気づき愕然とするのです。そういう思いをさせてくれる人はそうそういません。貴重な人と、人生のあるひととき連珠であいまみれるのは奇跡みたいなことで、もっとこの瞬間を大切にしなければいけません。勝とうとだけしてた自分は愚かでした。

今回の新鋭戦はもしかすると将来あんな時もあったね、と思い返されるような、粒揃いの将来性豊かな若手が揃ってました。それぞれの連珠に対する取り組みや楽しみ方は私から見ても眩しく、誇らしく、キラキラしていて、そんな若者が集まる大会に参加できたことは幸運です。そして全く気づかなかったのですが、最終局は長引いて皆んなに見守られていたと写真で知りました。つまり気が付かないほど無我夢中で没頭できていたわけで、連珠を打った充実感をたっぷり味わえたし、同じ志の仲間がたくさんいるという2つの幸福に溢れた1日でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?