連珠におけるbpm問題〜東北選手権振り返り〜
東北選手権は2勝2敗で3位でした。前回の記事で「ぴえちゃんは強い人との実戦経験が圧倒的に少ない」と中山に指摘された話を書きましたが、ふとそのことについて考えさせられることがあったので振り返りたいと思います。
2Rの岡部九段戦から(白がわたし)。黒の攻めが受け止められて41と手を戻したところ。花月はお互いに序盤の速攻があるので神経を使う戦型です。27が破壊力高めでうまくやらないと一気にもってかれる。28は実際は悪手だったのですが、黒も咎められずに局面が落ち着きました。ここは空間的制約はあるものの、速度の制約はなく白が自由に打てる局面です(katago評価値白62%で互角)。
そう、突然自由が与えられたのです。
前回記事で、私はかなりの対局数をこなしていると書いたのですが、ふと気づいたのは、こんな自由に打てる局面になることがそもそも少ない、ということ。なぜなら連珠は極めて繊細な速度ゲーで、序盤はほぼ速度によって打つ手が制約されているからです。詰めろなので受けなければいけない、相手に詰めろを打たれてしまうと手番が一生来なくなるから最速でいかなければいけない、、などなど。
もうひとつの側面として、連珠道場で練習していても序盤でどちらかがミスをして本進行に辿り着く前にお互いが死ぬことが非常に多い。というか局面が落ち着くまでにいかない。どちらかがミスで局面の均衡が崩れた場合、そのバランスを通してしまうと大変なことになるため咎めないといけない。構想を練る以前の基礎の部分の戦いをやっていることが非常に多かったことに気づいたのです。
勿論そうした序盤の折衝をたくさん繰り返して得られるものも大きく、実力はかなり向上したと思います。具体的には速度感覚は良くなった。ただ、もっと大きな互角の局面で構想を練ることとか、空間の急所への意識、大呼珠戦の感覚、などを磨くような練習があまりできていなかった。先生が強い人との実戦が足りないと言っていたのは、強い相手と打てば互角局面に収束されるからそこでの力試しができる、という意味だったのかもしれません。単なるレートの話じゃなかった。
連珠は局面で流れている速度が違います。音楽のbpmに例えると、花月ならば序盤は早く、テクノだとしましょう。ただ図の局面はボサノバになっています。普段の練習では花月じゃなくてもお互いが偏りある手を繰り出して咎め合う展開になることが多く、結果的に珠型関係なくテクノやロックなど、ぴえちゃん好みの音楽ばかり聴いてたんだということです。ボサノバは当然知ってるし、なんとなくこんな感じとはわかっていても、肌感覚で演奏できない。染み付いてなかった。
4Rの井上五段戦。ここは白に赤印のような早い攻めがあるので速度的な制約がありますが、緩い手でなければ黒に自由に打てる局面です。こういった構想力が問われるような展開の練習量が圧倒的に足りてなかった。2021年は色んな珠型を試して、自分に合う展開を探ろうと思ってましたが、単に珠型だけで選んでいると練習に偏りが出ることがわかりました。2022年はこういった局面での構想力を磨く一年にしたいです。もし早打ちの実戦で練習できないなら、棋譜並べや観戦などで補う必要があるし、そこは工夫次第だと思っています。
翌日は久しぶりに塩釜市場に行きました。常磐道や東北道も走れて、大好きな東北の景色も見られて(大会前の朝に海沿いを走ったのですが、松島湾の綺麗なこと!)最高の旅でした。
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