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日英ウィメンズマッチ(ギャモン女子団体戦)で初心を思い出した

JBS会報には参加選手全員の振り返りが掲載されるが、ここでは個人的に感じたことを残しておきたい。

ギャモンに対するスタンス

わたしは現在、プレイヤーとしては連珠を第一競技(本業)、ギャモンを第二競技(遊び)として取り組んでいる。(観戦の場合はぶっちぎりでギャモン第一。土曜の夜Amebaといぺちゃんねる、あるいはINBCが重なる時も迷わずギャモンを観ている)

局面に対する興味が連珠に著しくあるのもそうだし、どうしても将棋連珠畑の人間にとっては頑張っても運に左右されて報われないゲームが一定数あるギャモンを本職にする勇気がない(本職にしている方々の胆力は尊敬する)。ただ連珠や将棋には無いいいところもある。ギャモンは解析結果(PR)が詳細に出て、どこでどう間違えたか、正しい手は何かが可視化されている。最近ではPRとマッチの勝敗の両方を競うdual-duel式の大会もあったり、PRの数値でグランドマスターの称号が得られたりするので、結局はギャモンは自分との戦いなのかなと思っている。コツコツ努力したり、確率を上げたりすることがダイレクトに結果に反映されるし、自分自身の目標を設定しやすいところは他のボードゲームにはない魅力で、私も初心者ながらちょっと頑張ってみたくなっている現在である(マスターとか言われてみたいよね〜)。

団体戦参加にあたっての目標

キスノダイナマイトJBL元代表からお誘いがあり、日英女子団体戦に出場することになった。去年は英米で行われていて、アーカイブを見るとPRも晒されていた…。これは大変だあ!ちゃんとやらなきゃということで、1ヶ月ほど頑張ることにした。とはいえあまりギャモンに時間を取られたくないので、本番と同じ時間設定の試合を数多くこなし、主にキューブアクションの振り返りだけ重点的にした。チェッカーエラーが多すぎるのでそれまでやってると大変(=めんどくさい)というのもあった。

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backgammon galaxyのレートは1900〜2100を行ったり来たり。PRは一桁だったらバンザイ、12ぐらいまでは通常営業、たまに40とか爆発する。エラーによるばらつきが激しいので、自分の本当の実力がよくわからないというか、まだ数値に一喜一憂するレベルじゃないのだと理解している。むしろこの夏の目標は平均PRを作ることだった。平均がよくわからず、実際ばらつきも多かったので、自分の実力を知ることがまず重要だと思ったし、できればばらつかないどこかに落ち着かせたかった。

キューブの見直しをしていたおかげで、劇的にキューブの感覚は良くなったと思う。昔は「勝率25%ならテイクとか、わかるわけない」と思ってたけど、これが不思議なものでだんだん感覚でテイクできる、できないが身に付いてきた。ただgalaxyのレートはPRも勝ってないと上がらないシステムなのでなかなか上がらない。もう一段階踏み込んだ練習が必要だと思って最後の方はチェッカーエラーも見るようにした。そうすると、自分が当たり前と思って時間を使わなかったところなどに大きなミスがあることが多かった。時間をちゃんと使おうと思うようになった(=このくらいしか自分で解析を分析できなかったとも言うw)。

本番中は全てを受け入れる心境に

いよいよ本番、というときになって、わたしは不思議と澄み切った心境になっていることに気づいた。「やるだけのことはやった」とは全然言えない。でも「ちょっとはやった」ぐらいでも、これまでの自分とは違う。賽王戦や中級戦に出てったときのようなまわりが全部すごく見えて自分の立ち位置がわからずただただ不安、みたいな感じでは全然なかった。わたしの今の実力はわたしが一番良く知っている。なぜなら沢山練習したから。それを一番目撃したのは自分だから。だから今日はこれまで通りのプレイをしよう。実力以上のものなんて出さなくていいから、いつもと同じプレイをして相手が強かったら仕方ないと思えたのだ。

思い返すと、賽王戦などではいつもテイクしている局面でも相手が強いんじゃないかと怯えてテイクできなかったり、本番ならではの心境に揺さぶられていた。今回はテイクできるところでパスしたりがほとんどなかった(too goodでキューブを打ったことは何回かあった)のはとても良かったし、人事を尽くさなくても、中途半端でも、こういう心境になれるんだとわかったのは収穫だった。

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先に書いた通り私はギャモンの勝敗は心底どうでもいいと思っているし、対抗戦といっても自分との勝負が大事だった。PRも自分の平均的結果が出たので満足している。何より一番良かったのが、自分が取り組んだそこそこのレベルのことをそこそこの通りの結果で出せたことだ。そこそこでも勝負の心理状況を支える自信になるんだなということがわかった。

連珠で足りなかった初心

ギャモンで初心を思い出してみると、連珠では忘れていたことだったなあとつくづく思う。

・自分の実力以上の練習をしよう、自分の実力以上の結果を出そうと背伸びをしてないか。

・相手が強いからといって怯えて自分のプレイを歪めてしまってないか。

・PRは数値以上にいろいろなことを教えてくれる。むしろ最近は数値ではなく細かい内容に関心がいくようになった。連珠ではなかなか解析がでないから、レートや勝敗結果、相手の強さなど目に見えるところにばかり目がいって、大切な学びを見落としてないだろうか。

わたしは今連珠では高段者と呼ばれる五段を目指している。そうなるとどうしても今の実力より一段階上の領域に踏み込まなくてはならず、無意識のうちに背伸びをしてしまっていた。初心者の頃のようなやって、できるようになるスパンが短くもなく、むしろやってもどう身についているかわかりにくい領域にどんどんなっていく。でもやったこと以上のものが本番で出るなんてことはないのだから、本番はもっと澄んだ気持ちで臨めばよかった。やったことが大したことではなくても、それなりに自分を支えてくれていることを忘れていた。自分の足で立たなきゃいけないんだから、急に自分を大きく見せようとしても無理だ。少しずつやっていき、やった実感を伴って対局に臨みたい。


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