見出し画像

戦士達の冒険と記録 Vol.20 今日の四天王/精霊応援団(mayo)

「ポーンさんがやった果てのヘレン」(以下ぽれん)は非常に特殊なゲームである、と筆者は考える。

なにせ、ゲームが開始されると、プレイヤーはその勝敗に一切の干渉が基本的には出来ない。ゲームが開始される前までに積み上げられた努力とネタ、知恵と準備がその命運を分ける。ある意味手間がかからなくて楽ちんではある。一方で、ここから逆転したい、と思ってもプレイヤーには成すすべがない。このようなプレイスタイルのゲームを、筆者はこのゲーム以外に知らない。

おまけに、基本的には年に1回しか開催されないためシステムのため、このゲームには非常に謎が多い。ではゲーム自体は停滞するのか? と聞かれれば答えはNOである。
単純に追加JOBや新技が増えるだけでなく、様々なキャラクターのフレーバーが「ストーリー」を作り出し、ゲームマスターですら予想し得なかった物語が紡ぎ出されていく。

今年、最もゲームマスターが綴る物語に影響を与えたであろう人物の一人に、今回はインタビューしてみた。

--------------------------------------------------------------------------------------

今回お話を伺ったのはmayoさん。
ペンギンのぬいぐるみ「つよし」がぽれんにおいてはトレードマークのこの方である。

画像1

引用:魔星会ぽれん5 より
こちらがトレードマークのペンギン。どこかの水族館で買ったお土産らしい。

■自己紹介をお願いいたします。

mayo と申します。よろしくお願いします!
ぽれん9では、Phase2で今日の四天王というソロリージョンのソファを囲むソファで参加いたしました。
Phase4では、精霊応援団の発起人として、応援人で参加致しました。
ぽれん初参加はぽれん1の時でしたが、1ターン目に100ダメージ受けて即死した悲しみで、ぽれん2には参加しませんでした。その後立ち直ってぽれん3以降は毎回参加しています。

画像11

引用:ぽれん1 第9試合より
こちらがぽれん初参戦時のキャラクター「コヨミ」。もとはステッパーズ・ストップのゲーム「マーガレット・ハンドレッド」に参戦していたキャラクター。ちなみにmayoさん直筆。

■応援人10人+参加者5名、総勢15名で挑んだリージョン精霊応援団ですがビルドやリージョンコンセプトを教えて下さい。

応援Qで無敵になった挑発体術家が全ての攻撃を防ぎ、その後ろで精霊術士達が精霊を育てます。
精霊は使用スキルがランダムで決め手に欠ける可能性を危惧して、アスクレピオスとウロボロスを使うスネイカーを1人採用しました。

画像2

引用:ぽれん9 第189試合より
応援技Qにより2T無敵となった体術家は、倒されても3度応援人によって復活する不落の壁となる。

■精霊応援団のビルドを考える際、苦労した点や考慮した点はありますでしょうか。

ビルドを考える上で「複数人による応援でQが延長するかどうか分からない」というのがネックでした。
強さの目安として、「Qが延長する場合で、シミュ勝率97%くらい」「Qが延長しない場合でシミュ勝率1位を取れる」という2つの目標を設定してビルドを考えた結果、Q応援は2人にしようということになりました。
また、応援による復活についても、応援人の数だけ必ず蘇生してくれるのかどうかが不明だったので、精霊術士にルクスを多めに採用しました。
実際の動きを見てみると、Qが延長されるのか、それともQの効果そのものが変更されたのかは結局よくわかりませんでしたが、応援による復活はしっかり毎ターン機能することが判明しました。今年の結果を踏まえて改めて考えるなら、Q×6挑発の後ろにヴァルナ連打を4人並べるのが強そうです。
応援人の応援技の選択肢がランダムのため、参加者が集うたびに応援技のテーブルを聞いて、ビルド案を修正するということを何度も繰り返しました。

画像11

引用:魔星会ぽれん9 応援人一覧より
全975体のキャラクターが居る中で、応援人は僅か17体しかいない。
そのうち、精霊応援団所属の応援キャラは10体。応援人システムはまだまだ不透明な部分が多い上に、登録・応援先指定できるPhaseが限られているためなかなか増えない。

あと、これはビルドの苦労とは違いますが、キャラクターを確定する作業が大変でした。応援人は確定済み状態の戦闘キャラクターしか応援先に選択できないため、応援先のキャラクターの確定を待つ必要がありました。そのため、戦闘キャラクターは余裕をもって24時間前には確定してもらうように動きました。
また、キャラ確定時に不具合がありました。確定済みの応援人が1人でもいると、そのリージョンの戦闘キャラのキャラ確定が失敗するというバグに遭遇して、「これ締め切りまでに間に合うのか!?」と心配になりました。じすさんが迅速に対応してくださったおかげで、無事登録できました。トラブルを乗り越えて全員が登録完了できたときは、優勝したかのように盛り上がりました。

■精霊応援団は今までにない新たな試みですがなぜこれらの構成をやってみようと思ったのでしょうか。

応援人の可能性を開拓したいという気持ちがありました。応援人を選ぶ人が少ないのが気になっていて、魅力的なシステムだとは思うのですが「自分のキャラが戦う姿を見たい」を越えられるほどの魅力は現状では備わっていないのかなーという印象を持っています。
応援人によって一体どんなことが出来るのかを試したかったのです。(強さだけでなく表現についても)
実際に試してみて「戦闘キャラのキャラ画像に、応援人も描き入れてもらう」という方法を発見できたり、収穫は大きかったと思います。

画像12

引用:魔星会ぽれん9 より
実際に戦う戦闘キャラクターは中央の洗濯機(と中に入れられた女の子)。両隣にいるのが彼女の応援人。配置的には応援人の方が目立つ。

また、ST陣営(というかステストの民?)として、強さのために出来ることの限界を実行したい。という気持ちもありました。応援人はシステムに許された存在であり、5人リージョンに、出来る限りの応援人を合わせて戦うという強さを実現させたかったのです。戦闘キャラ5人に加えて応援人が私含めて3人くらい集まればかなり強くなるんじゃないかなーと思って募集を始めたところ、想像以上の協力を得ることができました。

引用:砂塔さんのTwitterより
こちらが精霊応援団総勢15名。画像で改めて見ると、とてつもなく多い人数というのがよく分かる。

■今日の四天王、は大きな話題となりましたがなぜあの様な構成(生立ち芸)をやってみようと思ったのでしょうか。

(今日の四天王の)メインテーマはジスカルド布告の体現 です。

これを読むと、GM(ジスカルド氏)はプレイヤーに対して遠慮せずいろいろなことに挑戦して欲しがっていることがわかります。
ぽれんに関しては、システム通りの公平な運用を求める声というものを、大昔からそこかしこで良く耳にしますが、GMの趣向はそれとは真逆なんだろうな。と勝手に推測しています。
もちろんプレイヤーがジスカルド布告に従う義務なんてありませんが、GM自らが行った布告に忠実な者を蔑ろにはするまい。という打算もありました。
結果的に、ロウストーンとつねストーンの力を借りることが出来たため、この試みは成功したんじゃないかな、と思っています。

サブテーマとしては、生い立ち芸の研究。
生い立ち芸はどこまでのことを実現できるのか。これは、その可能性を試すための挑戦です。
生い立ち芸とは、GMによるルールシステム外の演出のことです。
生い立ち芸が動画上の演出であることから、生い立ち芸について考える上で欠かせない考え方が、「ぽれんとは、GM氏による動画作品である」という視点です。
実現が容易であるか、動画の演出上好ましいものであるか。そういった点を意識しました。

画像3

引用:ぽれん9 第168試合より
ご本人が意図したものではないと思うが、結果として初手に約を2~3枚もらう、という偉業を成し遂げた「かみさまぼくだけに」も、ある意味可能性の追求であり演出もとてもおもしろい。

もう一つのサブテーマは5人固定リージョンというアーキタイプへの反抗。
「どちらの陣営がかつのかわからない」という点をぽれんの醍醐味とした場合、5人固定リージョンは、戦闘に参加する事が決まった瞬間に、試合の流れがほぼほぼわかってしまうというのが難点だと思っています。
なんなら当たる前からでも「どこに勝ててどこに負けるか、勝率はどの程度か」がある程度判ってしまう。
ぽれんの最大の特徴である、「動画で試合の趨勢を見守る」という特徴を大幅に減退させてしまう。
5人リージョン同士の熱い戦いが見たいという意見もわかりますが、システム上のゲームバランスの観点では、そこまで(試合が始まるまで優劣がつくかどうかが分からないかに関して)優れたゲームだとは思わないです。デフレクターや魔法剣みたいなぶっ壊れスキルもありますし、そもそも確定すると構成が丸見えで後出し有利だったりと、純粋な熱い勝負を望むにはプレイヤーの手の届かない部分での影響が大きい。

リージョンの人数は1人から20人(無所属リージョンならそれ以上も)が許されているにも関わらず、現状のゲームルールでは5人固定リージョンはそれ以外のリージョンよりも動きが安定していて勝率が高く、高い勝率を求めるならまず5人組を作らない理由がない。ということになってしまっています。
これでは勿体ないため、5人固定リージョンを安心させない方法は無いだろうかと、1年かけて考えました。

画像4

引用:魔星会ぽれん9 Phase4リージョン戦況より
かつてはランダム選出だったキャラクターはリージョン制度によって固定になり、ブレない強さを手に入れた。一方でその弱点を埋めるすべは戦場でのランダム要素ではなく、戦術にしか基本はなくなってしまったのかもしれない。

■ビルドのご相談もよく受けられるとのことですが、考える際にどの様なことをポイントにしていますか?

その人やリージョンが、何を目的にしているのかを出来る限り具体的に詳細に考えます。
勝利への拘りはどの程度か。例えば、「どっちかと言えば勝てた方がいいよね」「相手キャラの構成見るために最終日張り付いてチェックするよ」「勝つためにはおならも辞さない覚悟」「この技さえ発動すれば勝敗はどっちでもいいよ」等々。
使いたいJobや技が存在するか。例えば、「動画内で発動させたい」「使うかどうかはともかく、キャラ的にこの技は持っておきたい」等々。
実際の勝敗や活躍は始まってみないとわかりませんが、各々の目的に沿って最適なビルドを選択することは目指せると考えています。

画像13

引用:ぽれん9 第123試合より
今年のホテル女子会のビルドもmayoさん監修とのこと。こちらも、ぽれん7の「チャールズ」、ぽれん8の「あかいほし」などのビルドを参考の上、アスクレピオス+魔法剣を組み合わせたもの、とのこと。

■ぽれんの中でも、特に印象に残っているキャラクターやリージョン、参考にしたものなどがあれば是非教えて下さい。

キャラクターのビルドについては、ぽれん7のPPD達が参考になります。剣士4人が魔力炉や練気を貰って鞭を連打したり、インビジで隠れて分身やユグドラシルを連打するなど、デフレクターの無い時代でありながら、今でも活かせる部分は沢山あります。 

精霊応援団は、ぽれん8の精霊学会と花送ドロップを参考にしました。 

画像7

画像9

引用:魔星会ぽれん8 より
上:精霊学会より魔法少女キサ 下:花送ドロップより花拾いの零式 
一人がかばう(挑発)で相手の攻撃を受け、その間味方が安定して行動をさせるという構造。精霊術士を複数人入れるという要素のアイディアは、ここから来ている。

 ソファを囲むソファは、対シラサギの盾や囲炉裏裂ネイを参考にしました。

画像10

画像6

引用:魔星会ぽれん6 より
上:対シラサギの盾 下:囲炉裏裂ネイ
どちらもぽれん6の混沌を象徴するようなキャラクター。当時は生立ち芸でのみ実現可能だった「リージョン」制度に困惑と波乱を持ち込んだ囲炉裏裂ネイは、今日の四天王の原案であろう。

■mayoさんに取っての「ぽれんにおける混沌と秩序」とはどの様なものでしょうか。

ぽれんのストーリーで言及されている混沌という言葉は、プレイヤーにとって(あるいはGMにとっても)予測不可能な事象のことだと考えています。
面白くなるかどうかわからないし、失敗したら諸々が台無しになってしまう、そんな割に合わないリスクを承知の上で踏み込んで、それが偶然うまく行った時に初めて見られる奇跡的な素晴らしい景色を目指す。そんな挑戦する心が、ジスカルド布告で言うところの混沌です。
秩序の剣は、そんなリスクを取るのは割に合わないからやめておけと言う心です。
論理の剣は、そうやって暴れたい混沌の心をも現実に存在する河の流れとして見据えた上で最適解を模索する心です。

■次回やってみたい事や考えていることなどはありますか?

私のここ数年の方針は、「その年の新要素に全力で乗っかる」というもので、次回も次回来るであろう新要素に全力で乗っかるつもりです。なので現時点では未定です。
全力で乗っかれるような新要素が見当たらなかった場合に何をするかは、これから1年かけて考えます。少なくとも過去にやったことと全く同じことはやりません。やるとしたら、もはや別物と言えるくらいに大幅に強化したものになります。

画像14

引用:魔星会ぽれん9 より
キャラクター「ソファを囲むソファ」は今年のトレンドとなった必中魔法剣、及び改めて強さを認識されたヴァルナを(結果として)採用する形に。

■最後に、「ぽれん9」のご感想をお教え下さい

ぽれん9ではやりたいことがたくさんあって、やろうとしなかったことまで凄いことがたくさん起こって楽しめました。
ぽれん9に関わる全てのみなさま、ありがとうございました!お疲れさまでした!

画像12

引用:ぽれん9 42日目動画冒頭より
今回は茶番劇にも出演したmayoさん(のキャラクター)。ゴーストコードという名前で生い立ち芸が半ば公式となった今、来年の混沌と秩序はどう形作られていくのか。プレイヤーの挑戦は今から始まっている。

--------------------------------------------------------------------------------------

(ストーリー上は)ST陣営側についてしまったつねストーン。来年度から吹き荒れるであろうゴーストコードの嵐。既に波乱を予測させる種がいくつも巻かれた状態で、今年のぽれんは幕を閉じた。

次回の開催があれば「またなにかをやる」つもりのmayoさん。
mayoさんが一体どんなことをやるのか。そして来年度参加する戦士達はどんな形でそれに対抗しようとするのか、今からその試合が見れることを夢想する日々です。

それでは今日はこの辺で。インタビュー、今年はこれで最後でした。
楽しんで頂けたならば幸いです。本日までお付き合い頂いた皆様、インタビューにご回答して頂いた方々、ご協力くださった方々ありがとうございます。
来年も、また見てぽれん!

■ご協力一覧
mayoさん
mayoさんのぽれん9参加キャラクター
・ソファを囲むソファ
・ニャンモナイト

■SpecialThanks
アンディー・メンテ(ジスカルド氏)




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?