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戦士達の冒険と記録 vol.4 かせいのさなぎ(刹那の見切り/カセイ)

 「ポーンさんがやった果てのヘレン」(以下ポレン)はリージョン制が採用されたことにより、共通の目的を持ったメンバー固定での試合出場が容易になった。
 強力なチームを形作るものもいれば、それを表現の場と捉えるものもいる。昨年「ポレン史上最大のdmg」に挑戦した「限界猫地獄」もその一つだ。

 今年も新たな形でポレンにおける歴史の1ページを記したリージョンと、そのリーダーにお話を伺ってみよう。

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 今回お話を伺ったのはかせいのさなぎ(以下:かなぎ)さん。
 かくも鮮やかな黒ベタ塗りが特徴のイラストを描かれる方でもある。ちなみに、好みの男性は「成人男性で。年齢が28、もしくはそこから飛んで30半ばから40手前まで。それから、窶れていると一目見てピンとくる。パーツが左右対象ではなかったり、無精髭が伺えたりなど、さほど整っていない顔ならここで加点。キツい目付きはよいもの。筋肉贅肉問わず、肉付きのいい体格もよし。聖職者……と言わずとも、そのパーソナルに何かしらの信仰を抱えていると嬉しい。悪い顔、情けない顔が似合うと素敵ですね。過去に大きな失敗があったり、現在進行形で腐ってたり、どうしようもないパーソナルを抱えていると愛らしさがある。後のない、あるいは後に退けない状態も良しとします。めんどくさい特定年齢のくたびれた成人がいると健康になりますからね。でも物語込みで好きになる雑食なので、一例になりますが…!」とのこと。

引用:魔星会ポレン8 より
こちらがかなぎさんの代表キャラクター「カセイ」さん。年齢は26歳。いつも厳しい顔をしているが、かなぎさんとしてはそこが気に入っていらっしゃるようだ。

■自己紹介をお願いいたします。

 かせいのさなぎ(略称:かなぎ)と申します。
 普段は創作畑をメインに、ロールプレイ系を転々としている渡り鳥です。決まった住居はありません。ここ数年は定期ゲームにお邪魔しています。
 ポレンは7からの参入で、今年は『カセイ』と『解体すもの』のオーナー、【刹那の見切り】企画として参加しておりました。
 ポレンプレイヤー向けには、8の【クソデカ忍者】の企画人ですと言った方が通りは良いかもしれません。

引用:魔星界ポレン8 より
こちらがクソデカ忍者の皆さん。
ポレン8に参加したことがある人ならば誰しも覚えているでしょう伝説の試合。その立役者となった一人でもあります。

■今年は「構え」メインのリージョン「刹那の見切り」を創設されましたが、どういったコンセプトがあるかお教え下さい。

 コンセプトは、読んでそのまま。
 某有名ゲーム内のミニゲームタイトルのパロディです。
 達人の居合で、当たらない物理攻撃……出血目的で振られるアスクレピオス、MPを使い切った攻め手の放つでこぴん、削り目的の鞭を斬り返してしまおう!といった具合です。
 見切り、回避、反撃、どこを取ってもクールですからね。

画像提供:omame@略奪者さん。
クソデカ忍者、吸々トレインも同様に毎年ロゴを作成してくださっているとのこと。
一番右端には、リージョンメンバーそれぞれの武器が描かれている。

 ……現実は、回避では発動せず被弾時にのみ「刺し違える」仕様で、達人の居合ではなく、さながらドスを構えたヤクザ。まかり間違って次があるとすれば、その名前は【構えが如く】でしょう。

 そもそも、一連の始まりはこのツイートでした。

 剣士の新規技に燦然と輝く『構え』を見て、何も考えずに放った一言。
 この時、既に構成は現在の形とまったく同じで、テレパスに取らせる行動のみが違っていました。しかし、言い出しっぺという言葉がありまして。一度放った言葉は自分の内に残るものですから――加えて友人が楽しそうと仰ったこともあり――そのまま例年の2枠目となりました。

 また【刹那の見切り】はP4登場のリージョンではありますが、非常に早い段階から募集・集合していて、募集が12月11日、集合が同月22日。ですから、実にP1〆の時点で集合済みでした。
 これはP4(当時はP3を予定していました)までには構えが発動し、結果を見てからステータスとビルドを決定できるだろうといった考えのもとでした――が、結果は皆さんご存じの通り。
 ビルド構築よりも、構えが辿る事象そのものが苦労の連続で、初構え時には構え化⇒0のバグが発生および修正。
 その後、一切の挙動が不明のままPhaseは流れ……P4の登録が開始し、続行されていたP3の試合で残りの構え使いが全員出場するまで確定を粘るも、やはり発動せず。確定後も、トドメとばかりに【幕引剣】で判明した、回避時は発動しない=被弾によって起動する仕様。

引用:ポレン10 第84試合より
こちらが問題のシーン。「構え」を発動している拓郎リムス君に技判定がはいっているものの、missしたため構え自体は発動せず。
この時、初めて構え発動には命中が必須であることが判明し、動画は構えの挙動にたいして阿鼻叫喚の渦に包まれた。

 この通り、終始頭を抱えていました。例年、自分で企画するリージョンのビルドの殆どは私一人で組んでいるのですが、今年ばかりは全てが不透明でしたので一部のメンバーや他相談出来そうな方にご意見を伺い、提案や一例をやりたい事と照らし合わせ、考えた結果で今があります。その節はありがとうございました。

 初期案はツイートの通り、構え剣士4人と練気テレパス1人。
 これを、方々のご相談を経てブラッシュアップした結果が今の形です。別案では、テレパスの枠を速0ユグドラシル天使に置き換えた鉄砲玉スタイルも。今となっては、速度ではなく命中と防御(orHP)に振って威力と生存を担保、もしくは後者の案に近いものを採用することが正しかったと痛感しつつ、結果論。まぁなんとか構えは無事に起動しましたし。
 妙な遊びのためにあれこれ考えること自体は楽しく、挑戦としての意義があったので、予期せぬ演出まで含めて善い結果を得られたことに満足しています。

引用:魔星界ポレン10 より
そうして集まった面々がこちらの方々。
刺し違えるヤクザ、と言われるのもわかるぐらい皆さん迫力に満ちている。

■P4で皆さんの試合が流れるまで「構え」の挙動が全く不明な状態が続きましたが、どのようなお気持ちでしたか。

 それはもう……不安の一言!そして暗雲の連続。
 日々マッチング発表時にAM側の物理を食い入るようにチェックして、全体の構え保持者をチェックして登場を待ち、一向に発動しない結果に固唾と悔し涙を呑み。それはもう、毎日のように拳を握っていましたね。
 【幕引剣】戦にて構えに物理攻撃が飛ぶも、回避すると発動しないと判明した時はどれだけ黄緑ちゅんを願ったことか!
 今でも、不思議な仕様の数々に黄緑ちゅんの出勤を願ってやみません。暫定、自身の速−相手の速からなる疑似対抗ロールの結果が最終威力として算出されていることもまた、相手の懐へどれだけ速く斬り返せるかの表現としての仕様なのでしょうか……?

引用:ポレン10 第101試合冒頭より
こちらが今回のバグ取り担当キャラクター黄緑ちゅん。
構えの不思議な挙動がわかった後もこの子が動画に出てこなかったことで、「バグ」ではなく「仕様」であることが確定した。

 閑話休題。構えを待つ最中の心境について、各メンバーからもコメントを戴いております。

(tkwtekina@変えるべからざる者)
 不安は無論あったし、これまでに挙動が出なかったのは正直驚きは大きかった。けど、ここまで来たらむしろ構えがコンセプトのリージョンとしては自分達で構えの挙動が披露されるのはある意味美味しいかもしれないと思った。

(omame@略奪者)
 自分たちの他にも構えをコンセプトとした方はいらっしゃったので、一度でいいから成功してほしい! という気持ちは大きかったですね。
 配信のコメント欄でも構えを期待する声は多かったので、そういう意味では一種の一体感を得られて楽しかったです

(caibermakise@薬剤師)
 正直人数合わせで面白そうと思って入ったら今までで一番胡乱な展開になって愉快だった。

(kmarx321@敲くもの)
 「こんなことあるんだ」
 の一言ではあるのですが、正直採用人数の関係から"刹那の見切り"が出るよりも早く構えの仕様ないし挙動の確認自体は行えるのでは?
 と思っていたこともあり各phaseや試合が進む度、妙な期待と不安が凄かったですね。P4とか出番までずっとAM側の物理ウォッチャーしてましたし……。

■満を持しての構えリージョンの登場!皆さんが固唾を呑んで構え成功を願っていましたが当時のご心境をお聞かせ下さい。

 頼む……構ってくれ……一度でいいから……構って……ッ!
 元より、発足理由のひとつが構えのデバッグ。今ここで数多の構えの屍と苦しみに終止符を打ってくれ……我々の存在意義を証明してくれ……! 
 ――これ以上の気持ちはありません!
 刹那メンバーで96試合目を見守っていた当時、ツキノメさんのビンタ+6の予告が出た瞬間どよめき立ち、YouTubeのコメント欄でも命中を願われることへの一体感はまさしく当事者も観客も心がひとつになった瞬間かと思います。

 見事命中したビンタは構えの挙動を詳らかにし、ジスカルド氏からもTwitterでの後編試合予告を通して「祝・構え」の御言葉を戴くなど、まさしく我々が――というよりは、私個人が報われた瞬間であり、ようやく肩の荷が下りた瞬間でもありました。ほっとしております。

引用:ポレン10 第96試合より
全視聴者が「頼む…頼むツキノメちゃん…!構ってあげてくれ…!」と固唾をのんだ名シーン。
補正+6の得たビンタはこの後見事命中。見事構ってあげた。

 よもやまさか、構えの挙動を確認したいだけのリージョンがクライマーめいた有様になるとは思ってもみませんでした……。

画像提供:日野ソウヤさん
こちらが試合でつけられた演出やエフェクトを再現したもの。
通称「構えフラワー」。ブラウザでクリックしていただくと動きます。

■もう1キャラクター。今年は裏動物園で参加された「カセイ」さんですが、今年のコンセプトはどういったものですか?

 『白紙』。無を含む単語の羅列と共に、自分は何をしようとしていたか?を問いかけている。これが今年の生い立ちです。
 端的に言ってリセット。昨年、ようやく3年目で「カセイ」としては1勝を掴み、では次は何をしようか?と。
 こちらのキャラクターは、勝ちたいの気持ち、厳然たるぽれん戦士としての側面で、その勝利が果たされたからには心機一転がしたい。それゆえの、年一の枠を丸々使った『白紙化』コンセプト。
 文字通りの心機一転になるので、来年も出番があればカセイはAM陣営かもしれませんし、あるいは初心に帰って無所属で戦うなど、とにかく従来のSTでリージョンを組んでいた彼とは違った形になるかと思います。

引用:魔星界ポレン10 より
どこか落ち込んだような背中に「無」がつく言葉が並ぶ生い立ち。アンニュイでシリアスな雰囲気が漂うイケメンキャラ…となるはずだった。あの「技」をマネてしまうまでは。

■ところで、カセイさんエッチな妄想をマネしてそこそこ魔力上がっておられましたが、これは…?

 ぽれんには敗北脱衣といった文化がまことしやかに囁かれておりますが、彼も自身が身ぐるみ剥がされる光景が脳裏に過ってしまい、ぽれん戦士としての己に訴える恥辱の度合が謎プログラム上の魔力エントロピー……数値として観測されたのかもしれません。

引用:ポレン10 第6試合より
エッチな妄想は妄想力が強いほど10に近い値がプラスされる…と言われている。カセイさんは魔力が5あがった。ということで、そこそこなエッチさんの可能性がある。26歳だしね。

■例年ユニークな発想・着眼点でリージョンを作成されておりますが、どういった理由や信念がありますでしょうか。

 まず、大本命として人を楽しませたい気持ちがあります。
 企画そのものは私自身のやりたい見たいから発足しますが、自分の楽しみは二の次で、時間と1キャラクターの枠を割いて参加してくださったリージョンメンバー、それからポレン参加者にして視聴者となる皆さんにも楽しんでいただきたい。
 もっと噛み砕くなら、結果の是非に関わらずワクワクを提供したい。確定画面を、ステータスを見て、このキャラクターは何をするのだろう?この構成は何を試みているのだろう?と。そこに、コンセプトを明確としたものや、見るからに変なものが存在すれば、少なくとも私は「おっ」と思います。
 最終的な調理を行うのは謎プログラムですし、あくまでいち個人としてはエントリーという形式で素材を提供する立場にしかありませんが、そんな気持ち、些細な楽しみを片隅にでも置ければなあと。

引用:ポレン8 第82試合より
当時まだ精霊を育てること自体がメジャーではなかった時代。精霊を育てることをコンセプトに登場した「精霊学会」に「もし延々とウロボロスをする耐久力が高いチームが当たればどうなるのか…」という疑問に対してかなぎさんが出してくれた回答が「クソデカ忍者」であった。
この試合はその後のポレンにも大きな影響と知見をもたらした。

 他、細々とした理由としては、含まれたコンセプトの次に勝利を目指し、はたまた果てを目指す。そんな戦術的リージョンは自分が立ち上げずとも数多の有志たちが興してくれますが、明らかに妙なことや、ただ動作確認を目的に行うようなリージョンは自分で企画しなければ存在しないことが殆どです。
 小学生の如き発想を実行するには、尚のこと自らで企画する他ない。そう思い、よく考えず毎年やりたいことを言い出しっぺで実行しています。

 例えば、天使で羽を連打して画面外に出たり、分身まねっこ巨大化ウロボロスでキャラクター画像を限界までガビガビにしたいし、合体ロボをコンセプトに全員憑依連打でパーツがめちゃくちゃになる光景が見たくて、かばう準備体操ナイト統一など、色々くだらないことがしたい。
 来年も、そのようなことを2枠目で敢行するのでよろしくお願いします!

■今年注目しているリージョンやジョブ、技、キャラクターなどがあればお教え下さい。

 ジョブ面では、やはりアドベンチャーでしょうか。様々な〇〇クロックをひっさげて登場した、謎プログラム側から用意された――挑戦状とも解釈できる――クライマー職。中にはツクヨミクロックなど、いつかの試合を思い出す技があって懐かしくなったり。果たして、最果ての雪山ラストクロックは成功するのか!とても楽しみにしています。

引用:ポレン10 公式サイトより
突如としてP4エントリー前に発表された新ジョブ。
「照山ツクヨミクロック」はLv100のツクヨミがいることが条件で技発動ができる。
誰もが忘れられないポレン8の試合からジスさんは着想を得たのだろう。

 キャラクター単体としては「かまってちゃん」の次の試合が楽しみですね。構えというスキルに付加されたもうひとつの意味の走りを持つキャラクターであり、構え5連打からの村雲といったロール面でも完成されていて、彼女の初陣で暗黒剣士のケヒャ男(モヒ山ケヒャ男リターン)に結局構ってもらえなかったところまで含めて魅力がある。
 また、勝ち抜いた構え使いたちの誰かが、よりよい構えを出してくれることを祈っています。構えはP4まで発動しなかったことからも伺えるように、使いこなすことが非常に困難な性能ですが、その分発動した時のテキストと効果音はとても格好いいので……!

引用:ポレン10 第60試合より
唯一の物理持ちが早々に落ちてしまい、誰にも構ってもらえなかった「かまってちゃん」が怒りの村雲の剣を決めるシーン。
恨みがこもった136dmgにご注目してほしい。

■最後に、「ポレン10」のご感想、意気込みをお教え下さい。

 仕様が改められた結果、アグロからランプまで様々な戦術を万遍なく披露できるこの環境は、中々どうして良いものですね!
 きっちりした戦術については見る専に近くありますが、ある程度強い構築はあれど、それの対策やすくみが存在し、多種多様な構築で対戦する様子は見応えがあって手に汗握ります。
 【刹那の見切り】内の感想としては、構えと併せて方々で話題になったこと、実戦で大きな演出をリージョン単位で与えられたこと、その後も一場面を切り取った絵と、複数の方によって派生・改変された動画への驚きと。
 試合開始前、開始後ともに、バザーや紙切れを介した交流、応援絵や企画サーバー内でのキャラ個別スタンプ作成など、非常に活発なメンバーによって今なお続く盛り上げ等への感謝をこの場を借りてお伝えしたくあります。
 メンバーの絵は個々のTwitterに上がっていますので、よければ見ていってくださいね。私が嬉しいので。

 最後に、個人的な総評で〆ましょう。

 構えはもうコリゴリだよ~~~~~~~~~!

画像提供:かなぎさん
もう構えはこりごりとのことですが、来年構えが強化されたらわりとやってくれそうな気もしています。
でも羽を連打して画面外にいなくなる天使とか、みたいですよね。

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 毎度斬新な角度から参加をして下さるかなぎさん。
 この方の過去参加キャラクターをみると「あれも、これもこの人だったのか!」と過去の遍歴もわかって面白いです。
 次回があれば懲りずに(?)面白いことに挑戦される様子。今度はどんなアイディアを持ってきて下さるのか、今から楽しみですね。

 それでは今日はこの辺で。
 次回もまたみてポレン!

■ご協力一覧
かせいのさなぎさん
かせいのさなぎのポレン10参加キャラクター
・カセイ
・解体すもの

■画像提供
日野ソウヤさん

■SpecialThanks
アンディー・メンテ(ジスカルド氏)

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