コロナ後遺症(たぶん)で休職した話 1

6ヶ月と少し前から、コロナ後遺症とおぼしき症状(微熱・めまい・頭痛・倦怠感)で仕事ができなくなり、休職している。最近ではマスク着用が緩和され、5月には5類移行措置が予定されていることなどから、今後はますますコロナ前に近い生活が可能になると思われ喜ばしい限りである。が、私自身後遺症とおぼしき症状でここまで苦しむことになったのもまた事実であり、この感染症の恐ろしさを風化させてはならないとも思う。
そのような動機から休職に至る経緯と、通院・治療について書き記しておく。


コロナ罹患時

2022年2月、私はオミクロン株が流行した第6波の時期に新型コロナウイルスに感染した。体感したことのない変な体調が2〜3日続いた。37度台前半の微熱が出て、頭が重い感じの頭痛とめまいがあったので検査を受けたところ陽性。その後療養し職場復帰。結果的にはかなり軽症の部類であったが、復帰して半月少しは強烈な倦怠感とめまいと頭痛が続いて、フルタイムで仕事するのがやっとだった。復帰して1ヶ月経つ頃にはかなり良くなっていたと思う。後遺症メインで述べたいので罹患時の詳しい体調については割愛する。

体調の異変

体調が急におかしくなったのが2022年9月。それまでは極々普通に過ごしていた。自分が以前コロナになったことを忘れるくらいの普通の日常であった。

あまり体調を崩さない方だと思うが、そんな中でも体調不良になる時というのはたいてい何かしらの「予兆」があるものである。私の場合は口内炎が大量にできる、目の下のクマが濃くなる、喉の違和感が生じる、など。しかし、そういった予兆の類が全くない状態で突然それはやってきたのである。

朝起きてみると明らかに熱っぽい。案の定微熱があった。そしてめまい、倦怠感と頭痛に襲われた。めまいや倦怠感はコロナの時に初めて出た症状だったので、またしてもコロナに感染したか?と疑った。しかし、自宅で抗原検査を行ったところ陰性。また医療機関に行ってPCR検査をしても陰性であった。

内科では「風邪だろう」と言われ風邪薬を処方された。しかしながら、風邪であればたいてい現れてくるはずの「喉の痛み」「せき」「鼻水」といった症状が2、3日経っても全く現れないのである。おまけに微熱は下がらず、それ以外の諸症状も全く治る兆しがない。さすがにこれは変だと思うようになった。

この症状が出てから仕事に行けなくなるまで、実にあっという間だった。症状が出始めたのが土曜で、月曜には早退、翌日休み、その翌日もフラフラで出勤するも早退、その翌日以降一度も行けなかった。仕事をしたいのに全く身体が言うことを聞いてくれなかった。夜には「明日こそ良くなっているはず」と念じて眠りについて、朝目覚めては変わらない体調に絶望し、天井を仰ぐ毎日だった。症状が出た当初は、原因に全く心当たりがなく、毎日混乱していた。

数週間にわたる病院ツアー

自身が直面している体調がいよいよ変だと思い始めてから、当初PCR検査を受けた内科へ2週間の間に5、6回押しかけてどうにかしてくださいと懇願した。血液検査の結果は異常なしであった。形の上では異常なしであってもいかんせん体調が超絶悪いので、だるさを取るための点滴を打ってもらったり解熱剤をもらったり、何かと手を尽くしてはもらった。が、最終的には医師もお手上げ状態で「私は匙を投げます」と宣言されてしまい、途方に暮れた。

めまいがあるということで耳鼻科へも何度か通ったが、眼振検査や血圧測定など色々とやっても何も異常が見つからなかった。耳ではなく、脳に問題があるか?と疑い、脳神経外科へも行った。初のMRI検査などもしてもらったが全くもって異常なしであった。婦人科系の病気を疑って産婦人科へも行ったが、こちらでも異常なしと告げられた。

どこへ行っても「分からない」と言われるので、部屋で横たわりながら、「諦めるしかない」と思った。ここまで様々な病院に行っても全く異常が見つからないというのはきっと気のせいなのだろう、と思うこともしばしばあった。だがそうは言っても現に症状があるので、気のせいにはできなかった。

一緒に住んでいる夫にも、実家の家族にも、職場に対しても申し訳ない気持ちしか湧いてこなかった。いつ治るか分からず、治療法もない。下手したらこの先ずっと働けないかもしれないという大きな不安に襲われた。今思えば、症状が出始めて1〜2か月の間はかなり精神的にも落ち込んでいたと思う。うっすらと希死念慮のようなものが浮遊していたこともある。

転機

時期が時期でコロナウイルスが猛威を振るっていた時期でもあったので、熱症状があるせいでかかりつけ以外の医療機関では診察を断られることもあった。体調が辛いので外に出るのも億劫、新たな医療機関に問い合わせてもどうせ断られるだろうと思い、半ば諦めていた。

そんな矢先、痺れを切らした実家の母に県立の大きい病院に行くよう勧められたので、重い腰を上げて行くことにした。紹介状も何もなく、どの診療科にかかったら良いかすら分からない状態で受付を済ませ、自分の症状を詳細に書き込んだ問診票を提出した(赤字で大きく「コロナ疑い」と書かれた)。その後看護師に詳しく事情聴取され、抗原検査でもPCR検査でも陰性だった旨を伝えるとようやくコロナではないと納得してもらえ、その後「耳鼻科」(恐らくめまい症状があるため)へ案内された。

県立病院の耳鼻科でも聴力検査や眼振検査などをしてもらったが、結果としてメニエール病や難聴性めまいではないということを言われ、「異常はありません」と言われた。以前個人病院の耳鼻科へ行ったところ同様の結果であったので、何も変わらない状況にがっくりきた。このまま引き下がるわけにはいかないと思い、医師に仕事を休んでいる旨・どうにかこの症状を改善させたい旨を訴えると「めまい以外の症状については分かりません」とのこと。総合病院に来たのは複数の診療科の視点で診てもらうためだったので、「では他の診療科に紹介していただくことはできませんか?」と尋ねてみると、「??例えばどこですか?」と怪訝な顔で問い返される始末。さすがに蛸壺化しすぎだろ、と多少腹も立ったが、その医師からは「某国立の大学附属病院でめまいを専門としている外来があるのでそこへ紹介することはできる」と言われ、縋りつく思いで紹介状を書いてもらった。書いてもらわなければそれっきり、またゼロからのスタートになるところだったので

そこから約1週間後に大学病院耳鼻科へ。これまでにもしたような検査を一通り終えた後丁寧な問診があり、約2週間後にめまいの原因を特定する「平衡機能検査」を受けることになった。また、熱症状等は耳鼻科的に説明できないので他の診療科(総合診療科)へコンサルトしてもらい、当面、耳鼻科と総合診療科とでこの全身症状を診てもらうことになった。大学病院は「県内医療の最後の砦」をモットーにしているらしく、診察においても辛抱強く診るという意思が伝わってきたのでたいそう安心した。匙を投げ続けられる日々だったので、救われたような気持ちになった。本当にありがたい。ともあれここへ行けたのも某県立病院の耳鼻科(ちょっと腹立った)のおかげだったので、こちらにも感謝しなければ。

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