京都の冬漬け物「千枚漬け」の由来と味わい、おすすめの食べ方
こんにちは!「アマチュア漬け物研究家・漬けもナー」です。
先日、所用で東京から大阪へ移動する機会があった。
新大阪駅にはさまざまな土産物店があり、大阪名物が所狭しと並べられているが、なかには近隣県の土産物も置かれている。
そんな新大阪で必ず手に取ってしまうのが、「京漬物」のお土産だ。
京都を代表する三大漬け物
みなさんは、京都の漬け物と言えば何を思い浮かべるだろうか。
所説はあるが、京都には三大漬け物というのがある。
「千枚漬け」、「しば漬け」、「酸茎(すぐき)漬け」だ。
さすが京都ということもあり、どれも古い歴史を持つものばかり。
今回、そのなかでは比較的に近い時代に生まれた「千枚漬け」について見ていこう。
千枚漬けとは
冬の京漬物を代表する千枚漬け。
その魅力は何と言っても、京野菜の「聖護院かぶ」をまるごとスライスした見た目だ。
聖護院かぶの特徴
聖護院かぶには次のような特徴がある。
甘い
肉質がしっかりしている
みずみずしい
しっかりとした肉質を持つ聖護院かぶは、漬け物にすることで、歯がキュッと食い込むような気持ちの良い食感に生まれ変わる。
真っ白な美しいかぶが、向こう側が透けて見えるほどに薄くスライスされ、キラキラと光を放つ姿。
まさに、歴史と品格あふれる京都ならではの漬け物といえるだろう。
千枚漬けが生まれたきっかけ
千枚漬けという名称は、「聖護院かぶを千枚になるくらい薄く切って漬ける」という方法が由来になっているとされる。
千枚漬けが生まれたのは、江戸時代末期の京都。
幕末の動乱に揺れる京都御所で料理人をしていた大黒屋藤三郎が、1865年に考案したとされている。
宮中では、その奥ゆかしい味わいはもちろん、透き通るような見た目の美しさが評判を呼んだそうだ。
ちなみに、この大黒屋藤三郎は、御所から引退した後に「大藤」の名で京都市内にお店を構えた。
そして、そこから何と150年経過した今も、「千枚漬本家 大藤」として変わらずにその味を受け継がれている。
賞味期限は?おいしい食べ方は?購入する際の注意点
千枚漬けを買う際にはいくつか知っておきたいことがある。
賞味期限は1週間~10日程度
千枚漬けを購入する際の注意点。それは「賞味期限が短い」ということだ。
発酵をともなわない千枚漬けは、美味しく食べられる期間が「1週間~10日程度」と短めである。
もともと、保存を目的として生まれたというよりは、地元で採れた旬の野菜を地元で美味しくいただく方法として考案されたものなのだ。
そのため、販売期間も聖護院かぶの生産時期に合わせ、「11月~3月あたり」に限定される。
ちなみに、「千枚漬け」というワードは、俳句でいうと冬の季語にあたる。
カット?丸ごと?おすすめの食べ方
さて、
今回購入したのは、全国的な知名度を誇る「京つけもの西利」さんの千枚漬けだ。
関西在住者ではなくても、新大阪や京都の駅を利用したことがある方なら目にしたことがあるだろう。
実際に手に取ってみると、聖護院かぶを丸ごとスライスしているだけあって大きい。
するとこんな疑問が頭をよぎる。
「これはどのように食べるのが正解なのだろう?」
せっかく一枚ずつ大きなサイズでスライスされているので、このまま食べるのが乙なのか。
それともカットして少しずついただくべきなのか。
今回購入した西利さんの商品には、裏にこんな表示があった。
洗うのはNG
2.3枚重ねていちょう切り(ピザ切り)がベター
たまり醤油をかけるのがおすすめ
とのことだ。
塩分が少ないのにしっかりとした味わい
今回は公式の推奨に従っていちょう切りにした。
一緒に漬けられている昆布も刻んで添えると、彩り鮮やかになるのでおすすめだ。
一口食べてみると、最初にお酢の柔らかい酸味を感じる。
次に昆布だしの深みが舌の上に広がっていく。
そして、最後にかぶの甘みが口に残る。
なるほど。これは美味しい。
栄養成分表示を見る限り、食塩相当量は漬け物のなかでもかなり少ないほうだが、お酢と昆布だしの効いた濃い味わいに仕上がっている。
真っ白な見た目からは想像できないような、しっかりとした味だ。
そして、やはり聖護院かぶの肉質がたまらない。
見た目からすると、ポリポリと音をさせながら咀嚼するものかと思っていたが、噛むたびにじんわりと口のなかで溶けていく感覚だ。
超主観的5段階評価
先にあげた京都の三大漬け物のうち、もっとも甘味が強いのがこの千枚漬けだ。
そのため、少し漬け物が苦手な人にこそ、ぜひおすすめしたい。
ちなみに、塩味は薄めなので、食べ方には無限の可能性がある。
たまり醤油をかけて食べるのも良いし、薄い形状を活かして、生ハムのようにほかの食材を巻いて食べるのもありだ。
とりあえず、初めての方には、一枚丸ごと使ってご飯を巻く「生春巻きスタイル」をおすすめしたい。
ご飯の甘さが引き出されて、ビックリするくらい食が進むだろう。
今回の個人的な評価はこんな感じです。
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