信州から取り寄せた野沢菜漬けの実力とは?
こんにちは! 「アマチュア漬け物研究家・漬けもナー」です。
今回は信州名物の「野沢菜漬け」に関するお話。
信州といえば野沢菜漬け
「さっぱりしたものが食べたい」
きっかけはそんな単純な欲求だった。
ぼんやりとネットサーフィンを続け、ついには信州の野沢菜漬けに行き着き「せっかくなら本場のものを食べよう」と「野沢菜漬け」を取り寄せていたのだから怖いことだ。
■野沢菜は中央道SAにおける主力商品のはずだ
日常で野沢菜に触れる機会は意外にも少なくない。
特に印象深いのが、旅行などで立ち寄る中央道のSAでの出会いだ。
中央道のSAは、長野付近に差し掛かると五平餅の甘い匂いとともに、「野沢菜入りのおやき」のほっこりとする香りが立ち込めるようになる。
店内に入れば、色鮮やかな野沢菜漬けが仲間になりたそうにこちらを見ている。
そして、気づけば野沢菜漬けがショッピングカードに入っているのである。
■野沢菜の歴史
野沢菜は別名「信州菜」とも呼ばれており、長野県の野沢温泉村の住職が宝暦6年(1756)に、京都から天王寺かぶを持ち帰って植えたのが始まりとされている。
本来、温暖な地域で育つ天王寺かぶは、標高600メートル近くもある高冷地の気候風土によって突然変異を起こしてしまった。かぶの主体であるはずの根が育たず、葉と茎だけが大きくなっていったのだ。
しかし、意外にも葉や茎は美味しいと評判になったことから、この地域独自の「野沢菜」として地位を確立していったのである。
野沢菜は霜が当たると甘く柔らかくなるという性質がある。
そのため、11月ごろに寒くなるのを待ってから収穫作業が行われる。
野沢菜漬けの作り方と種類
野沢菜と言えば、やはり「野沢菜漬け」である。
もはや、野沢菜は野沢菜漬けのための野菜であると言っても過言ではない。
■野沢菜漬けの作り方
収穫された野沢菜は、「お菜洗い」という作業工程に連れていかれる。お菜洗いとは、温泉街である野沢温泉で行われてきた冬の風物詩だ。
共同浴場に周辺の宿屋のおかみたちが集まり、野沢菜を湯船に入れ、ぬるめのお湯で葉っぱの土や汚れを洗い落とす作業である。温泉の成分がしみこむことで、野沢菜が柔らかくなり、食べやすさが増すらしい。
その後、「一石桶」という大きな桶で大量の野沢菜を漬け、仕込んでから2~3週間で食べごろを迎える。
各地で微妙に漬け方は異なるそうだが、お菜洗いに温かい温泉を使うのは、寒冷地独特の知恵といえるだろう。
■野沢菜には新漬けと古漬けがある
野沢菜漬けの特徴は、何と言ってもしゃきしゃき感のある歯ごたえと、乳酸発酵による深い酸味にある。
野沢菜漬けには大きく分けて「新漬け」と「古漬け」があり、古漬けはややべっ甲がかった緑色になる。
スーパーマーケットなどでは、漬かりの浅い商品が売られていることも多い。
残念ながら、乳酸発酵による味つけが不十分であり、食卓にあがるとすぐに醤油をかけられてしまう場面も少なくない。
けれども、本場の古漬けには醤油などいらない。
噛んだ瞬間に柔らかな酸味が染み出し、茎と葉の堅さの違いが味の違いを生み出すので、余分な調味料が入り込む隙間はないのである。
野沢菜漬けの実力と味わい
■長野県松本市の水城漬物工房
さて、今回取り寄せたのは、信州・松本にある「水城(みずしろ)漬物工房」さんの野沢菜醤油漬けだ。
水城漬物工房は、明治時代に酒造店として開業されたのち、昭和22年に漬け物店に転業した歴史のある会社だ。
漬け物だけでなく「冷凍おやき」の通信販売も行っており、商品のラインナップは充実している。
早速届いた野沢菜漬けを チェックする。
製法にこだわっており、0℃の低温・低塩水を24時間365日循環させるとのこと。
そのおかげで不要な菌の発生を抑え、着色料・甘味料・保存料を使わずに仕上げられるそうだ。
■野沢菜とウイスキーの意外な相性
さて、袋から取り出してみると、色鮮やかな緑色の葉と茎が登場した。
気になって調べてみると、やはり水城漬物工房の野沢菜は、きちんと1年間乳酸発酵されているとのことだ。
素晴らしい。
野沢菜にはさまざまなアレンジ方法があるが、ファーストコンタクトはあくまでも基本に忠実に、白ご飯にのっけるのが適切である。
しかし、ほどよい酸味が出てくる頃になると、ビールや日本酒はもちろん、意外なことに洋酒にもピッタリ合う。
気になって調べてみると、発酵後期にあるウイスキーの香りづけに、乳酸菌が好影響を与えるそうだ。
そのことが直接的に関係しているかどうかは分からないが、乳酸発酵
された野沢菜とウイスキーの組み合わせが抜群なのは確かなことだった。
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