SS/白骨化スマホ
「あたしのこと撮ってくださる?」
せっかく着飾ってきたパーティだから1枚くらい写真を撮っておきたくなった。
話しかけやすそうな手の空いている男性に話しかけた。
「はい、喜んで。お美しい女性に頼まれるとはたいへん光栄です」
その男はなぜか自分のスマホを取り出して私を撮影しようとした。
「あの、私のスマホで撮っていただきたいのですが」
「いえ、せっかくですから私のスマホで撮った写真をあなたに送りましょう」
なにか面倒くさくなりそうな気がして、断ろうとしたが、うまく切り出せない。
「では、1枚だけ宜しくお願いします」
男はそれを聞くと、私にスマホを向けるや否や、何度も繰り返しシャッターを切った。
「もう結構です。お写真は送信していただかなくて結構です。約束を守れない方は信用できません」
「いいんですか?こんな姿のあなたを他人のスマホに残して?」
男のスマホを覗きんだ。そこには、的確な私のスリーサイズと骨密度の値が記されていた。
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記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします