イソップ寓話⑧【ウサギとカメ】

 ある日、歩みの遅さをウサギに揶揄われたカメは、山の麓までの駆けっこ勝負を挑みました。カメの挑発に乗ったウサギは、一気に勝負を付けてやろうとスタートと同時に猛ダッシュ、瞬く間にカメを引き離しました。
 だが、持久力のないウサギは直ぐにバテてしまい、休み休みゴールを目指す作戦に切り替えます。それでも、既にカメとは十分な差を付けています。
 ただ、想定外だったのは、スタート地点からは近くに見えた山が、想像以上に遠かったことです。1週間、1ヶ月、そして1年が経ちますが、山はまだずっと先です。
 もう棄権しようかとも考えましたが、ウサギが、カメに負けるのは末代までの恥。歯を食いしばってゴールを目指しました。
 しかし、3年が経過する頃には、年老いたウサギはもうほとんど動けません。野ウサギの寿命は3〜4年なのです。そのまま眠るように死にました。
 その約70年後、ついにカメがゴールしました。


・画像は無料素材サイト『 #illustAC 』より