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ドローンの課長

(本文410文字)

 課長は、死語の世界に生きている。
 彼は、何でも十代の頃に親の都合で海外に移住し、そのまま日本の文化に触れないまま四十年経過し、最近帰国したばかりだ。縁故採用で管理職に抜擢されたが、常識が少しズレていた。
 特に、言葉遣いが不自然だ。幸い、日本語の読み書きは問題ないのだが、使う言葉が古めかしいのだ。

「チミのファッションは、いつもナウイな」
「これ、Bダッシュで仕上げてくれ」
「この案、なかなかイカしてるな」
「悪いけど、俺たちはそろそろ行かないと。レッツラゴーだ」
「チミ、案外ひょうきん者だな」
「おぉ、これバッチグーじゃん!」
「何だよコレは、冗談はヨシコさんだぞ!」
「ちょっとタンマ!」
「アフター5はギロッポンか?」
「ヤベェ、部長が激おこプンプン丸だ」

 常にこんな感じで、私達は笑いを堪えながら仕事をこなす毎日だ。

 そんな彼は、定時きっかりに「俺は一足先にドロンするぜ」と飛んで帰るので、影で「ドローン課長」と呼ばれている。

(了)


#毎週ショートショートnote 久しぶりの参加です。
お題は「 #ドローンの課長 」です。

(追記)
スズムラパイセンとクリソツなネタになっておりました。ガビーン!
許してちょんまげです🙇‍♀️🙇‍♀️