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レガシー黒赤白リアニメイター徹底ガイド

閲覧ありがとうございます。piaoと申します。
MtGでは主にレガシーをプレイしており、かつては関西のKMCによく出場していました。今はもっぱらMagic the Gathering Online (MO)で遊んでいます。2023年3月中のMO Legacy Challengeで、コンボデッキの黒赤リアニメイターを使用し、3回連続top8(内、優勝1回と準優勝1回)と大変良い戦績を残すことができました。

間に参加したLast Chanceも4-1の5位。
優勝の翌週もバブルマッチまで行きました。

本稿では、筆者が好成績を出すことができた理由を考察しながら、実物提示教育不採用の黒赤白リアニメイターを使いこなすための方法を伝授したいと思います。

1. メインデッキの構成と改良

他の黒赤リアニメイターとの比較

  • リアニメイト用クリーチャー(以下、ファッティ) 8枚

  • 《悲嘆》と《暴露》 各4枚

  • 《思考囲い》 2枚

  • リアニメイト呪文 12枚

  • 《納墓》と《信仰無き物あさり》 各4枚

  • 土地 14枚

  • 《水蓮の花びら》と《暗黒の儀式》 各4枚

これは今のMOでメジャーな黒赤リアニメイターのメインデッキ構成です。手札破壊呪文の内訳やサイド用の《Underground Sea》の有無にバリエーションがありますが、僕はファッティの選択の違いが自分の勝因の1つだったと考えています。

よく見るリストではファッティとして《セラの使者》が1枚挿しされていますが、僕は以下の理由から懐疑的です。

  • このカードはハンドアドバンテージもライフアドバンテージも生まない

  • 相手の攻め手と除去が同じカードタイプでないと裏目が防ぎきれず、これ1枚で完封できる相手は少ない
    例:エルフにクリーチャー指定で《飢餓の潮流、グリスト》、イニシアチブにクリーチャー指定で《精霊界との接触》、8castにアーティファクト指定で《天上都市、大田原》

  • 《タッサの神託者》系コンボには効かず、ストーム系コンボではフィニッシャーを読み間違える可能性がある

  • 相手のデッキ判明前にリアニメイトするメイン戦のブン回りで釣り候補にならない

  • 黒くないため《暴露》と《悲嘆》のピッチコストにできない

一方で、新登場の《偉大なる統一者、アトラクサ》は、ライフ不要のドロー、「カードを引く」ではなく「手札に加える」、警戒・絆魂・接死の組み合わせ、と《グリセルブランド》に似て非なる性質を持ち、高い対ビートダウン性能を誇る強力なファッティです。そして黒い。

僕は《セラの使者》の代わりに《偉大なる統一者、アトラクサ》でファッティの枠を埋めることにしました。以下がMO Legacy Challenge優勝時のデッキリストになります。

  • 《グリセルブランド》4

  • 《偉大なる統一者、アトラクサ》2

  • 《残虐の執政官》2

というファッティ構成にした結果、全てがピッチコストにできるため無駄引きが少なく、どれを釣ってもハンドアドとライフアドに貢献するために裏目が減りました。伝説の2種はどちらも強力な手札補充能力を持っているので、そこまで《カラカス》に弱い印象はありません。1枚の違いではありますが、初手の許容範囲が広がりデッキに迷いがなくなったことで、特にメイン戦がより強固になった実感があります。

メイン戦マリガンの心得

黒赤リアニメイターには、メイン戦をしっかり勝つために妥協のないハンドキープが求められます。目標は1-2ターン目にファッティを釣り上げることです。

先手が取れた場合、「マナソース」「ファッティを墓地に落とすカード」「リアニメイト呪文」の3要素が揃い、確実にコンボを仕掛けられるハンドが来るまでマリガンします。後手のときは、クリーンアップフェイズのナチュラルディスカードがやりやすく、ファッティそのものが手札にあれば、それを墓地に落とすカードがなくても容認されるため、キープ基準が少しやさしくなります。

「xxxがあれば完璧なハンド」は多くの場合アウトです。必要なカードを引くまでに3ターン以上かかり手遅れになる可能性が高いからです。2マリガンまでに満足なハンドが来るとありがたいですが、3マリガン=4枚キープであっても、土地、《暗黒の儀式》《納墓》、リアニメイト呪文があれば1ターン目にコンボをトライできるので、十分勝ち得ます。

このようにシビアなマリガン判断をするデッキなので、《セラの使者》1枚の違いでも使用感、ひいてはメイン戦の勝率に影響が出ると考えています。

2. サイドボード後を勝ち抜くために

苦行のサイドボード戦

コンボデッキは相手が準備不足なメイン戦で有利な反面、サイド後に強力な妨害カードと向き合う宿命にあります。リアニメイターにとってのGame2/3は、1枚でコンボプランを瓦解させる墓地対策カードをどう乗り越えるかに苦心する時間です。ここが大変なんですね。

打ち消し呪文や《外科的摘出》のようなインスタント妨害に対する手札破壊の増量、アーティファクトやエンチャントを壊す《摩耗+損耗》、《封じ込める僧侶》など致命的なクリーチャーへの《殺し》と言った「妨害の解決」をするカードをサイドインするのが直接的な方法です。この場合、噛み合わないと相手の妨害に触れず、無駄牌を抱えてコンボが通せない事態に陥ります。適切に回答するため、相手のデッキへの理解度が求められます。

別のアプローチとして、相手の妨害を無効化するために、勝ち手段の軸をずらす「アグレッシブサイドボーディング」があります。例えば、前述の《Underground Sea》から《実物提示教育》をキャストすることで墓地対策を無視しようとする構成をよく目にします。

僕は《実物提示教育》を採らずに、素出し可能なクリーチャーをサイドインする方法を好んでいます。そして、これをただのウィニー戦略ではなく、「ヘイトベア戦略」ととらえることが重要だと考えています。このヘイトベア戦略は、本筋のリアニメイトプランや黒赤白のカラーリングととても相性がいいです。この意識の洗練と戦略整合性の高さが、2つ目の勝因だと推察します。

ここからは…

前述のリストで「妨害の解決」と「アグレッシブサイドボーディング」を駆使して厳しいサイド後をどう戦うのか。サイドボード戦に焦点を当てたこの章の残りの部分では、

  • 「妨害の解決」の精度を上げる

  • アグレッシブサイドボーディングの先鋭化

  • ダウスィーが輝くとき

  • サイドアウト一般則

  • 力線に応戦

というタイトルで議論を深めていきます。

続く第3章「主要なアーキタイプの傾向と対策」では、具体的なサイドボードイン・アウトを紹介しながら各デッキタイプとの戦い方を解説します。以下が網羅しているアーキタイプです:
デルバー、デスシャドウ、青系コントロール、マーベリック、リアニメイター、Doomsday、セファリッドブレックファスト、エルフ、Sneak Show、Riddlesmith、8cast・青単ペインター、ストンピィ、赤単ペインター、Death & Tax、Lands

最後におまけ程度ですが、「確率の神様を味方につける」という題で、少し数学を交えた話をします。ただの右手力ではなく、人事を尽くして天命を待つために、リアニメイターができることをお伝えします。

申し訳ありませんが、ここからは有料とさせていただきます。1つには、この先の内容は、僕が約2年間の死に覚えで養った知識や体得した技術の結晶だからです。自身の優位性を失う覚悟で、手の内を明かしました。また、無料公開することでノウハウが知れ渡れば、陳腐なものになり有用性は下がります。「勝ちたい」と思っている読者にとっての情報の価値を守る意図も含め有料にすることに決めました。

色々な考え方を紹介しているので、黒赤白リアニメイターはもちろん、別バージョンのリアニメイター使いやリアニメイターに対峙するプレイヤー、さらには別のフォーマットを主戦場とするプレイヤーにとっても読んで損はない内容だと自負しています。購入して、上達の一助にしていただけると嬉しいです。

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