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HSP…名づけられることの救い


「HSPの治療」は存在しない

精神科及び心理学的支援においてのHSPやACは診断用語ではありません。「症状の名前」ではあっても「診断名」ではありません。そして医師や公認心理師がHSPを症状の名前として用いることはありません。

※HSP…ハイパー センシティブ パーソンの略語、繊細すぎる人。

心理検査には「認知機能や感覚の特性を測定するもの」「適応状態を観察するもの」「性格の傾向をわけるもの」など,色々なものがあります。調べるといっても、100人いれば100とおりの結果があります。数値だけでは何もわからないに等しいです。「それでは意味がないじゃないか」と思われるかもしれません。

WAISという有名な知能テストがあります。心理師は知能テストとは呼びませんが、ここは一般市民の用いる日本語に合わせています。このWAIS、最近は発達障害の診断補助ツールとして活躍しています。

例えば、WAISの結果「全体IQ125(動作性110言語性140)」という人がいたとします。 …「IQが少し高めである」、素人の人でもすぐにわかると思います。もう少し詳しい人ならば、「努力すれば東大に合格できる」と考えるかもしれません。ところが、医師や心理師は 全体IQをほとんど見ていません。見てはいますが、IQに注ぐ注意量がとても少ないんです。

IQの算出方法

多くの知能テストは、中央を100とした標準偏差方式です。この方式におけるIQ200は存在しません。存在はしても役に立つこともなければ信頼性もありません。大学受験の偏差値90以上の値がどこまでアテになるでしょうか。逆に偏差値30以下も同じです。算出方法が異なれば、IQ200や300…現実的な範囲でIQ160はあり得る数値です。

IQ160は診断名ではありません。

当たり前ですか?

IQ60は知的障害という診断がつきます。しかし高IQの人たちも生きづらさを抱えています。平均から外れるという意味ではIQ60と同じですが、生きる上のリスクは質も量も同じとは言えません。少なくともIQの低い人たちの困りごとは、社会が全力でサポートしなければ、最低限の生活スキルや社会スキルを習得できません。

HSP、繊細すぎることで困ることは何ですか。
IQ、高すぎることで困ることはなんですか。
身長が高すぎると、町を歩くのも大変なんですよね。

「どうにもならない困りごと」…だからこそ、存在を確かなものにしたい。名前を与える意味は様々でしょう。治療や社会運動を望んでいなくても、いつもそこにある何か。ただただ名づけることで静まる苦しさもありますよね。

…HSPもACも、元来の役割とは、名づけることにこそあるのだから。

まとめ

自分の困りごとは、社会のルールを変える必要があるものなのか。自分を救うルール変更は、社会にとっても自分にとっても、本当にそれが正解なのか。自分を救うために社会を変えたいのならば、裏側で何が起きているのか。そこまでを目をそらさずに見る責任があるはずです。

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わたしのIQ…(余談)

私はぶっちゃけて晒しますが、高IQです。WAISでは130以上を出してもあんまり意味がないし、高いIQを出そうと思ってテストを受けたことはありません。150とか160とか170とかテストの種類次第で出したことは何度もあります。あるいは、騒音の極めて激しく狂いたいほどの極めて粗悪な環境でWAISをやっても、全項目100以下になることはありません。「環境を整えて全力で挑んでもIQ100に届かない人たちがいる」、それは衝撃でした。支援の優先度が私にないことは、とても納得のいくことでした。

by 森野 2020/11/27(金),11:17.『HSP…名づけられることの救い』

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