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白々と間瀬の二度目の夜が明けていく

自分の鼻息に耳を澄ませば、波の音に聞こえる。

いや、これホント。

波と呼吸のリズムは同じ。

「今も海と僕らはひとつなんだ」

いつかうちの子が、恋人を連れてこの海を見ながらそう話すのを想像する。

それで、それをやって見せると鼻水がドバッと出て恥ずかしくて笑うけど、彼女(彼)が海を見ながらノールックでハンカチを渡してくれるのだ。
(鼻水を垂らしているところを見ないように)

それが嬉しいやら余計恥ずかしいやらで、鼻水の付いたハンカチを返そうとするのだけど、いや、それ、もう汚いし要らないから取っておいてと、ぶっきらぼうに言い放つ竹を割ったような性格の彼女(彼)。

え、いや、それは、このままもらってしまっていいのか、洗って返すのもやっぱり恥ずかしいし、かといって女(男)物のハンカチは持っていてもしょうがないし。なんて事に思いを巡らせているちょっと考えすぎのウチの子。

それに気づいた察しのいい彼女(彼)が、そのハンカチを取り上げて海に投げ入れるのだ。

鼻息が波の音なら、鼻水は海の水。

後の流れは推して知るべしだべ。

昭和はハンカチで鼻を噛んでる人居たよね。って話。

令和4年5月27日 雨上がり

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