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ピアノの発表会

4月に、ピアノ教室の発表会がある。

結論から先に言えば、娘だけではなく、私もその発表会に出ることになった。

出るつもりはなかったんだけどね。
私は私のためだけにピアノを弾いているのであって、誰かに聴いてほしいわけではないし。

という、確固たる意志を持っているにも関わらず、発表会の参加申し込み用紙を渡された瞬間の、「出てみるといいですよ。不安なら私と連弾でもいいです。良さそうな曲選んでみますから」という先生の言葉に、断りの言葉を返せなかった。

つまりは確固たる意思などなかったのである。

それでも参加表明を出すまでは結構悩んだが、でも先生が曲を選んでくれるということは、私のために時間を割いてくれるってことだよな…という考えに至り、せっかくなら出てみるかという結論に達した。

後日参加表明が入った封筒を渡した時、先生は中を見ずに、「発表会、この曲どうでしょう」とある楽譜を見せてくれた。

その封筒の中に、不参加表明が入っている可能性は、先生の中になかったのだろうか。

なんて怖い。良かった。参加表明しておいて。

先生が選んでくれた曲は、「君をのせて」だった。

ここで一度やってる曲でした。
でもそのことは先生も知らないし、楽譜も当然私が弾いたものとは違う。

「大人の方は子供とは違う。たぶん舞台に上がるだけですごく緊張してしまうから、難しい曲はやめた方がいいです」

と、先生は言う。
実際、先生が選んでくれたその楽譜は、メインである私のパートは右手だけだった。
(オクターブの和音があるが、今回はそれを左手でやることになったので、実質は両手で弾くけど)
そして、難しい部分が全くないわけではないが、全体的に見れば簡単だ。
なんなら、娘が弾く曲の方が難しいかもしれない。

でも、先生がそう言うのであれば、本当にそうなのだろう。
自分でも本番まともに弾けるか不安だ。
なので素直に「その曲をやりたいです」と返した。
純粋に、私のことをちゃんと考えて楽譜を選んでくれたことが嬉しかったし、演奏してくれた先生のパートがとても素敵で、それに合わせて弾いたらすごく良さそう(小学生の感想文みたいだが)と思ったのである。

この曲に決まってから、家で自分のパートを練習して、レッスンで先生と合わせていく感じでやっているのだが、突然「1番と2番で伴奏を変えていることに気づいていましたか?」と先生に問われたことがあった。

恥ずかしいことに私は、問われてから初めて先生が伴奏を変えていたことを知ったんだよね。

先生に、「私の音ももっと聴いてください」と言われ、明らかに練習が足りていないことを痛感した。

正直、家で練習している時って誰かがアドバイスしてくれるわけでもないし、できているできていないの判断も曖昧で、何となく「今日はこんなもんでいいか」となりがちなんだよなぁ。
先生との連弾はすごく楽しいんだけど。

ピアノを弾く方々に「ピアノを舐めているのか」と言われそうではあるが、正直家で1人で弾いている時にモチベが上がらないのは事実なので、先生に「伴奏を録音させてほしいです」とお願いした。

が、「今はダメですね。練習しておくので、後日でお願いします」と2週続けてお断りされたので、仕方なく譜面アプリに先生のパートを打ち込んで再生させ、それに合わせて弾く練習を始めた。
相手が機械でも連弾というのは楽しいもので、思った以上に練習も捗っている。

そんな時、ふと自分のパートも打ち込んでみることにした。
楽譜通りの演奏を、機械にさせてみたのである。

そこで、初めて自分が弾いていたものが間違っていることに気づいた。
(先生なんで指摘してくれなかったんだろう…)

知っている曲だから雰囲気で弾いてしまっていた部分があったな。気をつけないと。
微妙にアレンジされているので、初心者用の楽譜で弾いた時とも子供の頃に合唱で歌った感じともまた違うのが難しい。

譜面アプリはとても便利で、先生のパートだけ流してそれに合わせて練習したり、自分のパートだけ流してそれと一緒に弾くことで楽譜通りに弾けているか確認できたりと、中々役立っていると思う。
特に3連符は先生から何度も違うと指摘されたが中々感覚が掴めず、機械の演奏を聴いて「なるほど、そういうことか」となった感がある。
(なるほどとなったからと言って弾けるかと言ったら、それはまた別の話なのだが)

アプリの演奏を画面録画して、バックグラウンド再生できるアプリでひたすら流して曲をインプットしたりもできて便利だ。
今も聴きながらこれを書いているのだが、洗い物しながらとか、通勤の時に車で流したりとか、機会があればずっと聴くようにしている。

まぁ実際、先生の伴奏は譜面通りではないわけだが、伴奏の雰囲気と自分の演奏がブレないようにするために、有効的かなと思う。

ただ、機械は抑揚をつけてくれないので、そこは自分が何とかするしかないのだが、これが本当に難しい。

先生から「伴奏だけ抑揚がついていて、メロディに抑揚がついていないとおかしな感じになる」と言われ、確かにその通りだと思うのだが、できるなら初めからやっているわけで。

先生「この曲は出だしが静かだから、最初のフレーズに抑揚があるかないかで、聴いている人は上手いか下手かを判断してしまう」

(なんでそんな怖いこと言うの…)

私「どうやって抑揚をつければいいですか?指を落とす速さですか?」

先生「カラオケですごく曲に入り込んで歌う方いるじゃないですか。あんな感じ。大げさなくらいやった方がいいです」

私「気持ち的にはそうしているつもりですが、その気持ちが指まで伝わらないです」

先生「だんだんできるようになりますから、大丈夫ですよ」

だとしても、発表会に間に合うか?
今週は今まで以上に練習しているつもりだが、それでもやっぱりまだ抑揚については掴めていない気がする。

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