時がたてば
久保さん、皆さん、こんにちは。
南波です。
久保さん、すっかりご無沙汰してしまいすみません。お元気ですか。
2学期はいろいろな行事もあって、やはりバタバタしますね。
ここまで、何度も書きかけたものがあるのですよ。
でも窓から見える景色も、日々の様子も、書いたものはもうずいぶん前のことになってしまいました。
美しかった葡萄も、もうずいぶん前に食べ終わりました。
久保さんちの杉の木の上に住んでいたカラスの子は、もうとっくに巣立っていったのでしょうね。
「あーあー」と甘えて鳴いていた声が、やがて「んが、んが」になり、今は「カァー、カァー」と澄んだ声で鳴いているのでしょうね。
バタバタといっても、忙しいわけではないのですよ。
私はもともとゆっくりの星から来たのに、今までずいぶん無理をして周りの人たちのスピードに合わせてきたのです。
怒られますからね、遅いと。「遅い!」って、若い頃たくさん怒られましたので、ぜいぜい言いながら怒られない程度に急いできました。
でももうそれは無理なんじゃないの?と思うようになって、元々のスピードに戻すことにしたのです。
そうしたら、これまで日常の中でやってきたことが、いろいろ納まらなくなってきたのです!
スピードを落としたことで逆に忙しくなってしまったような気がして、これはおかしい、と思い、「やること」自体の数を減らさなくてはいけないのだなと、最近は思うようになりました。
難しいのですけどね、とても…。
最近の、嬉しかったこと。
「自分は間違っていない」と信じて疑わず、喧嘩別れしてからもう20数年(30年近くと言っていい)顔を合わせていなかったお二人が、笑顔で並んで鍋をつついている、という光景を、先日目にすることがありまして、長く生きると人間何があるかわからないものだなあ、良い景色を見せていただいたなあと、しみじみしました。
私が生きているうちにこんな景色が見られるとは思っていなかったのです。どちらかのお葬式にもう片方の方が渋い顔をしていらっしゃる図、もしくは私のお葬式にお二人がいらっしゃって渋い顔を合わせる図、しか思い描いていませんでした。
お二人のことを思って勇気を出しておせっかいしてみたら、私が怒られる、という、まことに残念なこともありました。
でも突然やってくるのですね、こんな日が。
幸せな気持ちで、私も、息子も混じって一緒に鍋をつつきました。
お二人の心だけでなく、お二人を長く見守ってきた何人もの人たちの心も、30年近くぶりにやわらかく、軽く、あたたかくなったひと時でした。本当によかった。
あ、嬉しかったことはもっと他にもたくさんあったのですよ。楽しいこともたくさん、面白かったことも、たくさんありました。
でも、上に書いたのが特別に特別な最近の出来事でした。
急に寒くなってきましたので、皆さまお体に気をつけて。
私は夏の終わりに流行りの感染症にかかりまして、「やばい!」と思って必死に治そうとしたのですが、そのあとずっと体の重さが続きました(最近はもう全快と言えるくらいになりました)。
病気になった時も、「急いで治さなきゃ!」と思わずに、「まあぼちぼち治りましょうか〜」と体を労わりながらゆっくり回復するのが良いのだと思います。
せわしない毎日ですが、まずは今日一日が無事に終わることを祈って、そして自分の周りだけでなく、世界中で一日一日が平和に終わることを祈って、みんなでこの季節を満喫したいですね。
久保さんとゆっくりお茶をすすりたいなあ。
お互いあたたかくして過ごしましょう。
皆さま良い秋を!
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