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頭の中で絶叫しても・・。

 たぶん、初めましてやと思いつつ、恐る恐る
『初めましてだと思います。私これから」
と言いかけた時。

「私はYや、名前は美子、美しい子やで、もう一人同じ名前の人おるけどあっちは知らん、美しいのは私と覚えといてー。アハハハハッ、そんな目むいてー、私綺麗やろ、昔はなぁ吉永さゆりにちょっと似てるっていわれてたんやでー言うたもん勝ちや。がんばりやー、応援してるからなー」
一気にまくしたてられ、茫然。隣の仲のいい方も
「又云うてる、どこがやのん、でもこの人よう気がつくから。
いつもこの席に座ってるから、私らは気をつかわんでもいいで、何かあったらちゃんと言うから。あっちで手あがってんでー、行ったり。」

立ち上がると向こうのほうで手を上げてる方が。いやその前に手前でフラフラでこけそうになりながら歩いている方が。走らねば、と思いきや手をタッチ、
「お茶お茶もろてないねん」
いやいや無理ーーー!!
「後でいれますねー」と走りながら叫び、フラフラの方の横に付き、手をあげている方に
「ちょっと待ってくださいねー」と叫ぶ。

「トイレ行く」
「ご一緒します、右足前出しましょう。車椅子持って来ましょうか?」
「歩ける」
「わかりました。右足、もうちょっと前だしましょう、もう少し、上げるような気持ちでぇ。」私は祈るような気持ち。
進まん。
トイレは、はるかかなた。
これはたどり着かん。

 向こうではとっても怒ってガンガン手を振ってるし、なんか静養室でブザー、あれっお風呂場のブザーも鳴り出したやん。
あああ又一杯来られて、コート脱いで立ってはるし、誰か手伝わないと。
頭はグルグル、でも一歩も動かず。
スタッフいずこぉーーーーーー。
「お手洗いですし、車椅子持ってきますのでちょっ」
「歩く!」
助けてぇーーー、と頭で絶叫してる時に
トイレから別々にスタッフがでてきて一瞥、車椅子を持ってダッシュしてくれる。
「後で一杯一緒に歩くからねー、体力温存しといてよー」と叫びながら、タッチ交代。風のようにトイレに消えていく。

できません、部長。
「周囲見渡してるやん、スゴイ事やで。」
いや、出来てないのに褒める部長がすごいんです。

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