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スーパー戦隊MOVIEレンジャー2021を見たよ~

 「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の公開が2021年3月8日に決まったってよーーいよいよその時が来るかと痛感し、興奮冷めやらぬ2月27日映画館へ足を運んで『スーパー戦隊MOVIEレンジャー2021』を観ることとなった。
封切りを迎えるまでは首都圏を中心とした緊急事態宣言の影響で公開延期になるのではと心配していたのだが無事公開を迎え喜ばしい限りだ。
以下映画の内容についての感想。
当然だがネタバレをしていく。ご注意されたし。



前説?


 リュウソウレッド、キラメイレッド、ゼンカイザーーー今回の映画に登場する各作品の主人公組による観客への挨拶といったところか。
同時上映形式ならではのクロスオーバー、没入感への誘いだと思う。
挨拶の体を取っているが、先輩レッド2名がゼンカイザーを「君、誰……?」と訝しんでおり、上映プログラムのトリを飾る「映画版ゼンカイジャー」へのフックだと見ることが出来る。



『魔進戦隊キラメイジャー THE MOVIE ビー・バップ・ドリーム』


 キラメイストーン「ドリームストーン」を悪用するヨドン軍幹部ミンジョによって、夢の世界へと閉じ込められたキラメイジャーたちの戦いを描く――体感的には中篇といったボリュームの映画作品。
 本作の敵となるミンジョの姉ヌマージョとロボ戦で活躍するザビューンのTVシリーズ初登場が9月(ややこしいがコロナの影響による延期が無かった場合は8月放送だったと思われる)、浴衣姿などの夏を思わせるコスチューム、本来だったら2020年の夏映画となる予定だった作品だったと推測される要素が散見される……というかパンフレットにて言及されている。
 分断から合流するまでを目指すチームバトル要素、誰の世界の夢なのか?を追う謎解き、と簡潔ながら1本の筋が通っていて見やすいと思った。
 また博多南を演じる古坂大魔王の持ち歌(こう言っていいのか?)「PPAP(ペンパイナッポーアッポ―ペン)」が劇中曲として使用される。どことなく聞き覚えのあるイントロが流れた瞬間「パロディソングでも流すのだろうか?」と思ったが、本物が流れたのである。
TVシリーズ本編で散々ネタとして当て擦ってきたのだから、ある意味集大成とも言えるのかもしれない。
 終盤、誘われていたユメーリアがガルザの夢だと判明し戦いはキラメイジャーの勝利へと傾いていく。
夢世界で描かれた情景は兄オラディンに対する偏愛、クリスタリア王族と姪マブシーナへの想いといったガルザの本音なのだ。これもなかなか感慨深い。何故ならこの作品を公開しているのはTV本編のガルザはヨドン皇帝によりジャメンタルの真実を知らされ、充瑠を活かすために戦死しているというタイミングだ(戦死展開は公開日翌日のことだが)。
 前述したように夏映画をスライドさせた作品なのでこれは偶然だと思うが結果としてガルザという人物により強く思いを馳せられる映画となったのは良い事だと思う。
 EDダンスを断固として踊ろうとしないが、身体がどんどんリズムに乗っていくコミカルな姿も愛おしい。

『騎士竜戦隊リュウソウジャー 特別編 メモリー・オブ・ソウルメイツ』


 ナダをガイソーグから解き放った後のリュウソウジャーの知られざる物語を描く。32話と33話の間に位置するスピンオフ――推測だが恐らくコロナの影響で『キラメイジャーVSリュウソウジャー』が出来なかったが上映メンツの中にリュウソウジャーを並べたいということで出された企画なのではないだろうか。戦隊シリーズの歴史から見てもかなり異色な立ち位置のスピンオフ的ストーリー。
気さくな人柄と弱さのコンプレックスに悶え苦しむギャップ・人間性で人気を集め(個人的にそう思う)そしてその死に衝撃を受けたナダを中心に据えたと聞いた時点で本作への期待値はとても高かった。実際15分の短編で変身した姿によるアクションも少なかったが(リュウソウレッドだけ)、キャスト陣による所謂素面アクションの充実、カナロの迷走婚活再び、坂本監督による趣向と思われる腹チラとタイツ(あえて細かくは言わない)と画面はちゃんと賑わっていたなぁ。
 この作品の直後となる33話で何故リュウソウジャーが卓球に熱中していたのか、ガイソーグを纏ったナダ敗北の理由などなども納得がいく説明がなされていたと思う。後付け、なのだろうか。ガイソーグ弱体化の理由が「ナダを助ける為、ガイソーグの力の根源である積もりに積もった憎しみを全て解き放ったから」とかなり合点がいく部分もあり、当時からあった設定なのではないかという気もする。
 コウたちがリュウソウジャーに変身出来ないのは「変われない」トラウマに囚われた人間から生まれたマイナソーの能力に依るもので、憎しみ全開で暴れる人々のパニックはガイソーグによる影響という原因の切り分けをきっちり説明してくれるのも当時のリュウソウジャーの作風を思わせる。
 たとえ変身出来なくても諦めない、コウ達の不屈の魂に魅せられたナダも強くなろうとしていた。あのメッセージを録った時は強く生きようとしていたのだなとこれを見て改めて確信する。
あと冒頭シーンで急逝された龍井うい役・金城茉奈さんへのメッセージで既にウルウルしちゃってたりするわけで……目頭が熱くなる一本だったね。

『機界戦隊ゼンカイジャー THE MOVIE 赤い戦い! オール戦隊大集会!!』


  幾多の並行世界を閉じ込めたトジテンドと戦う機界戦隊ゼンカイジャーの戦いを描く、記念すべきスーパー戦隊45作品目の初劇場版!!――と今回の映画の中で一番の飛び道具だった本作。参考のために公式HPのストーリーを読んでいたのだが、並行世界を閉じ込める敵とかその過程で機械生命体世界のキカイトピアとこの世界(ゼンカイザーの世界?)が既に融合してる状況とか初耳なことが多すぎるし、この映画ではそんなことほとんど説明していません。
 TVシリーズに先駆けた戦隊劇場作品という意味ではキラメイジャーエピソードZEROと似ているが、内容はほぼほぼ真逆と言える。
製作側のイメージとしても本編開始からある程度時間が経過した後、という位置づけらしい。百聞は一見にしかず、それも複雑な設定の作品ほどといったところか。その大胆な手法は個人的には面白さに繋がったと思うのだ。
 何か複雑な設定を持ってそうな主人公・五色田介人と日常に溶け込んだというか生活感に溢れまくった個性的なキカイノイドたちの掛け合い、これだけで今年の戦隊もキャラクターのドラマに期待が持てそうだとワクワクしたよ。
で、今回の映画にはゲストとして、
ゴーカイジャーの『バスコ』と『サリー』
ニンニンジャーの『九衛門』
ジュウオウジャーの『バングレイ』
ルパパトの『ザミーゴ
』……といった歴代ヴィランが登場する(しかもオリジナルキャストで)、
加えてその身体に歴代ボスのパーツを配された今作のゲスト怪人・スーパー悪者ワルド……と豪華な顔ぶれが悪事を働くがとアクの強さでゼンカイジャーたちも全く負けてない。
観る前は初お披露目でファンに馴染みが深いこの面子と対峙するのは酷じゃないかと思ったのが、この映画はあえてぶつけることで「今年の戦隊はキャラが濃い!!だから、懐かしのヴィランと相対しても気圧されない!!」と印象付けようとしたのだろう。それは大成功だと言っていいのではないか。
 いやだってゼンカイザーなんて、序盤戦闘シーンでギャグマンガのツッコミみたいなタイミングと姿勢の蹴りを敵に食らわせているし、敵軍勢をマシンガンみたいな武器(ギアトリガーというらしい)で一挙に殲滅するパワープレイを見せつける。アクションの外連味が強い!!
前述したように日常パートも濃かったし(介人と一緒に買い出しをするジュラン、占いで日銭を稼ぐマジーヌ、女の子ナンパするの?と思わせて猫をナンパ「そっちかい!!」なガオーン、図書館で立ち読みのブルーン)、最大の危機もジュランのかいた汗で脱するし……存分にキャラクターを堪能できた!!
 他にも客演として全スーパー戦隊のレッドが登場する。それを率いるのは初代スーパー戦隊であるゴレンジャーのアカレンジャー・誠直也(こちらもオリキャス)なのだが、スタンスとしては「自分たちの世界は自分たちで守らなきゃな」的エールとでも言うか、スタンスか……それが見ていて新鮮な距離感だったことは克明に記しておかねばならない。
実際レッド大集合後のバトルパートもほぼほぼと戦うゼンカイジャーメイン。歴代レッドのアクションもほとんど描かれず、ヴィランズを倒した姿だけが描かれる。ゼンカイジャーと歴代レッドの共闘らしい共闘もなく、物語は終わっていく。
淡白と言えば淡白かもしれない。それまでは例えばVシネマの戦隊VSシリーズで濃密なクロスオーバーを展開し、そのある種の到達点として全ての戦隊を同じ時系列に捉える海賊戦隊ゴーカイジャーが生まれ我々は歓喜した。その後も同様の、いやそれ以上に原典リスペクト(原作の設定、細かなエピソードを拾った台詞や本編後の彼らへの言及)をされるクロスオーバーが評価されていく流れが出来たように思う。
尺の都合とやらでカットされてDC版を出すつもりなのかもしれないが、ゼンカイジャーの戦隊シリーズに対するスタンスは「あくまでも戦隊は各世界に一つ」で「ゼンカイジャーは力を託される」というところになるのかもしれない。
立ち位置自体がかなり特殊な映画を一本見ただけでここまで話を拡げるのも飛躍している気がするが、それならそれで悪い気分ではないというのも正直なところ。
 自分がこの映画で一番印象深かったのはラスト部分、倒されたヴィランズのバスコらがゼンカイジャーにお礼を述べて元の世界へと戻っていく場面だ。
ヴィランズとのトジデンドとの関係がイマイチよく分かっていなかったのだがギアの力によって召喚、無理やり従わされていたということらしい。
ゼンカイジャーらの活躍でギアから解放されたヴィランズは自分達の世界でまた悪として暴れるそうだ。
悪を倒したことで別の世界へ悪を解放する、ヒーローとしてはやらかしのようにも見えるがこれはある種道理だ。とても気持ちが良い。
戦隊、それと激闘を繰り広げる敵も本来いるべき場所は一つ、自分たちの世界(作品)なのである。
 戦隊間の過干渉を避けるスタンスと言えば、熱さもへったくれもないがこのゼンカイジャーが新しいシリーズ記念作品のあり方を模索していることは間違いないだろう。
そもそも映画のタイトルも「オール戦隊大集”会"」となっている(大抵は大集合と入れそうところを)。
並行世界という設定や白倉プロデューサーが関わるということで「仮面ライダーディケイド」のようだとも思ったが、やや趣向が異なるのかもしれない。
 奇奇怪怪なキャラクターたちのドラマとロジカルに作るクロスオーバー作品ゼンカイジャーの今後に期待したい。

定着するといいね

 前説パート同様また3人集合……とはならずゼンカイジャー映画終了と共に映画は幕切れとなったわけだが前述したようにやはりゼンカイジャーへのフック「この知らない戦隊は何者?」とクエスチョンを付けるパートであり、ゼンカイジャー映画がそれに対するアンサーだったということで綺麗にまとまっていると見ることも出来る。リュウソウレッドとキラメイレッドも駆け付けてくれたしね。
 コロナの影響もあるし、それと関係なく(?)ゼンカイジャーもぶったまげたことしてくるしである種の予定調和感から外れた3本立て映画としてとても楽しめたなぁ。まぁ別にコロナ関係なく2本同時上映だった去年も随分驚いたものだが(笑)
 来年もワクワク出来る同時上映形式の戦隊映画があることに期待したい。
そしてキラメイジャーVSリュウソウジャーの実現も期待したい。
そして目の前の危機を人類が乗り越えられる日が一刻も早く来ることを期待したい。





推敲してる間にキラメイVSリュウソウ公開決定の報が出ました……流石東映は抜かりないと痛感するのであった。

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