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#8【トレーナー・セラピスト向け】脳振盪の症状 -Symptoms of Concussion-

前々回の記事で、脳振盪の「徴候」についてお伝えしました。
ここでは脳振盪の「症状」について説明したいと思います。

それでは、早速。

今日は以下の点についてお話していきたいと思います。

1. 脳震盪の「症状」を理解することの意味

「徴候」と「症状」。前回も説明したように、どう違うの?と思われている方もいらっしゃると思います。そう迷ってしまうのも仕方のない部分もあり、その辺りをクリアにしていきながら、現場で、もしくはリハビリ中に起こりうる症状について説明していきます。

今回の記事を読んでいただくと、「徴候」と「症状」を区別して認識できるだけでなく、頭に衝撃を受けて、その時は大丈夫かな、と思ったケースでも、その後の状況に合わせて適切に対処できるようになります。

前回も太字でお伝えしましたが、「脳振盪かも」と気づくためには、脳振盪に対する知識を持っておくことが必要になってきます。脳振盪が何なのかを理解していないのに、脳振盪に気づくことはできませんよね?なので、脳振盪の「症状」を理解することで「もしかしたら脳振盪かも…」というように、早い段階で気づけるようになります

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前々回の「徴候」も含め、「症状」について理解を深めると、現場で頭に衝撃を受けた際、またその後大丈夫だと思っていても後日症状が出てきた際に、「ただの頭痛・頭部打撲ではなく、脳振盪かも」という考え方になり、自然とそれに対する行動が取れるようになってきます。リスク管理をするうえでは非常に大切です。

2. 時期によって区別する必要性のある脳振盪の症状

“脳振盪の症状”と調べたらいろんな項目が出てくるかもしれません。しかし、その情報の中でも、その項目がどういった時の「症状」を指しているかを確認しておく必要があります。

「脳に衝撃を受けた直後の症状」なのか。
「その後に出てきた症状」なのか。

3. 脳に衝撃を受けた直後の症状と、その後の症状

直後の症状として、注意が必要なのは、症状によってはすぐに医師の診察、もしくは医療機関での搬送が必要になるからです。以下の症状です。

 意識がない
 物が二重に見える
 強い頭痛、頭痛が強くなる
 眠気が強くなる, 目覚めた状態でいられなくなる(昏睡状態)
 周りにいる人や自分が今いる場所がわからなくなる
 嘔吐を繰り返す
 いつもと違う, 混乱している, イライラしている様子がみられる
 発作・痙攣が起こる
 手足に力が入りにくい、しびれる、バランスが悪い、動きがぎこちない
 話す言葉が不明瞭になる
 首の痛みが続く, または増してくる
 反応が悪くなってくる

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上記の症状が出ている場合は、症状が重いことを表しています。以前の記事でも書きましたが、脳振盪だと思っても実はもっと重症なケースの可能性が高いからです。軽度外傷性脳損傷の中でも中度より、もしくは中度以上。また脊髄損傷の可能性もあります。すぐに医師の診察、もしくは医療機関へ搬送しましょう。

次の症状は受傷直後にはもしかしたら出現しないかもしれませんが、受傷後24-48時間まで、もしくはそれ以降にも引き続きみられる可能性のある症状です。こういった症状があるかどうかの確認を本人に行い、あった場合は脳振盪を疑って対処してください。

 頭が痛い・頭がしめつけらている感じ
 ふらつく
 嘔気・嘔吐
 めまいがする
 ぼやけて見える
 光に敏感
 音に敏感
 ひどく疲れる/やる気がでない
 「何かおかしい」
 いつもより感情的
 いつもよりイライラする
 理由なく悲しい/気分が落ち込む
 心配/不安
 首が痛い
 集中できない
 覚えられない/思い出せない
 動きや考えが遅くなった感じがする
 「霧の中にいる」ように感じる
 眠気が強い
 眠れない/寝付けない

今回は、「脳振盪の症状」についてお話させていただきました。前々回の「脳振盪の徴候」と合わせて覚えておいてもらえたらと思います。

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