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#11【トレーナー・セラピスト向け】脳振盪の対処法 -How to Handle a Concussion-

前回・前々回と「脳振盪の徴候・症状」についてお話しました。はい、そうですね。現場で確認する徴候・症状がわかったら、ではどうしたらいぃの?ですよね。というわけで、今日は「脳振盪の対処法」についてお話したいと思います。

1. 脳震盪の対処法を知っておくことの重要性

現場で脳振盪が疑われた場合、正しい対処をする必要があります。そういった対処がなされず、そのままプレーを続行し、仮にも再度頭を打ってしまった場合、重症化する確率が高くなってしまいます。そのようなことを防ぐためにも、是非確認しておいて欲しい内容です。

対処法を理解していれば、悪化させることも防げますし、回復にかかる時間の短縮にも繋がるからです。

2. 脳震盪の対処法

それでは見ていきましょう。まず頭に衝撃を受け、脳振盪の徴候・症状をみられた場合、以下の順序で対応してください。

1. 活動を中止し, 安静にする
2. 徴候・症状を確認し、悪化してきていないかも確認
(救急車を呼ばなくて良い状況か確認)
3. 短時間で回復が見られても試合復帰は避ける
4. 1人にしない(必ず近くで様子をみる人が付き添う)
5. 状況によっては病院へ

一番大事な点は、1つ目の「活動を中止し、安静にする」ことです。この1つ目ができれば、その後の2つ目以降は安静させている状況なので、比較的簡単に実施できます。

3. 対処が遅れるケース

対処が遅れるケースとして、頭に衝撃を受けた瞬間がはっきりわからないことがあります。トレーナーは基本的にコートやフィールドの外から練習や試合をみているため、頭に衝撃を受けた瞬間を間近でみられるわけではありません。そのため、脳振盪が起こっていても見逃してしまうことがあります。トレーナーはボールを追いすぎず、その周りの選手の様子にしっかり目を向けて観察する必要があります。もし、ここで見逃してしまい、そのまま試合が続けられ、プレーを継続させてしまう結果になってしまうと、脳振盪が起こっている状態でさらに衝撃を受けることになり、脳振盪の重症化の原因になってしまいます。

では、実際に見てみましょう。1分35秒当たりに注目してください。

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画面は切れていますが、恐らくベンチからは衝突した瞬間に頭を打ったのか打ってないのかは判断しにくい角度ですね。こういう時にボールだけ追ってしまうと、余計に脳振盪を見逃してしまうので要注意です。

また、選手自身が「大丈夫です!」と言い張るケースも気をつけなければいけません。トレーナーが正しい知識で脳振盪と判断したのであれば、その時点で選手を練習・試合から外し、安静にさせる必要があります。しかし、その後に起こりうる症状や後遺症についての知識を持たない選手は、どうしても練習・試合に出ることを優先させてしまいます。正しい判断で試合中でも選手のプレーを中止させる強い姿勢が必要になってきます。

次はこの映像を。開始からしっかり見逃さないように見てくださいね。

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気づきましたか?実は先ほどの映像と同じ場面です。倒れた時に頭部を地面に打った瞬間はベンチからでもはっきり見えてそうですね。そして、徴候・症状にも気づきましたか?立ち上がろうとしてフラついて倒れました。でも意識は残っているので、他の選手がメディカルスタッフを呼んでいる時もキーパーに話しかけ、気丈に振舞っています。今回の場合は、頭を打った瞬間を見ていたと思いますが、その瞬間を逃し、選手の様子が普通だったらそのままプレーを続行させてしまうかもしれません。そういった意味でも、一旦プレーを止め、徴候・症状を確認して、正しく対処することが重要になってきます。

最後に。監督やコーチがプレー続行の判断をしてしまうケースです。監督やコーチは医療知識を持ち合わせていないことが多いので、医学的な知識に基づいた判断はできません。試合の行方によって、または気持ち(気合い)によって脳振盪の対処法が左右されることはあってはなりません。メディカルスタッフである、トレーナーやドクターの指示を仰ぎ、脳振盪と判断された場合には、すぐにプレーを中止させる必要があります。監督の権限が強かったり、トレーナーが若かったりすると意見を聞いてもらえないチームもあるかもしれませんが、その後の選手生命を考えた場合にしっかりと賢明な判断を下す必要があります。

上記したように、脳振盪と気づいていても、わかっていても、止められない現状がまだまだ多いかもしれません。しかし、その状況を防ぐためには、日頃から監督やコーチ、選手に対して脳振盪がどういったものなのかを学んでもらい、チーム内で脳振盪に対する理解を深めることが重要になってきます。

脳震盪は命にも関わってくる傷害であることをしっかり認識し、現場で適切な対処ができるように、普段から環境を整えておくことが大切になってきます。

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