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【詩】何や良う分からんけど

 絵描きは狂ったように、火傷をした手で親友との平凡な日常を描くのだろうか。その後に、全細胞の憎しみを込めて「地獄変」や「残響のテロル」を描くのか。その時彼等は鬼になる。私は鬼の物語が見たい。私は映画をあまり観なかった。鬼神も哭かん夏の夜半、陣雲暗き五丈原に今、諸葛亮は死に行かんとしている。私は、酩酊した鬼は、眠りから醒めて全員救わせろと言う。お前もお前もお前も、全員救わせろ。表現者の復讐は内側を、政治は外側を救え。錯乱して吐血すれば赤い絵の具で薔薇を描こう。もう帰って来ない人達に捧げよう。狂人を磔にしろ。意識が混濁すればあるホメロスが失われて、地獄で革命するさ。だから死なないでくれよ。70億、命の使い方間違ってる。俺はあいつの見れなかった景色の向こうに旗を掲げて、死ねば良かった。地獄と霊鷲山をごちゃ混ぜにしたのは俺だ。身体も心も魂も汚れてる。どうせろくなくたばり方できない。悪い奴だけ生き延びる。何かを言いたい訳じゃない。衰弱していく。全員生き延びろ。さもないと死ぬぞ。救うとか救われるとか死んだら終いやぞ。生きろや。何や良う分からんけど生きろや。

Jul. 20th, 2019

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